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第3回 事故検証新潟県技術委員会報告

10月30日開催・第3回事故検証県技術委員会を傍聴しました。

今回のテーマは「政府事故調報告書について」。

政府事故調査委員会はすでに解散していますが、
委員長だった畑村洋太郎さんと委員だった淵上正朗さんが、報告書について説明し、
そのあと技術委・委員との質疑応答がありました。

●傍聴の感想です。

① 事故原因については、国会事故調が指摘した地震によるSB-LOCA(小破口冷却材喪失事故:配管の小さな損傷から冷却材がもれ燃料損傷に至る事故)等については一切言及なく、津波による配電盤水没がすべて、と説明。それぞれの結論が異なっていることについて、技術委員会はどのように考えるのか、評価次第で柏崎刈羽原発の安全性評価が変わってくる。技術委員会として事故原因をどう見るかを県民に示さなければならない。

② 畑村氏、淵上氏とも完璧な防災を求めるのではなく、被害を最小に食い止めるための対策を追及するとした「減災」の概念を強調。福島の実態から、放射能汚染という特質をもつ原発事故は、あってはならない、起きたら取り返しがつかない事故であるのは明らかだ。被害=放射能汚染であるかぎり、被害を最小にとどめられればよしとする発想を原発事故にあてはめるべきではない。減災ではなく、事故を断つ「断災」が必要であり、「断災」は原発を止めることにほかならない。

③ 最終報告(今年7月23日に発表)の「委員長所感」には、失敗学の権威畑村氏の事故を通して浮かび上がった「人間観(人とはどうであるか、それゆえ、事故を未然に防ぐにはどうすべきか)」がのべられており、そのぶん社会構造や東電の企業体質への切り込みが不足している。事故は、否定しがたい人間の傾向が積み重なって起きたのかもしれないが、それを防ぐシステムを国や東電は用意したのか・しなかったのか、国や東電のシステムはどうであったか、原発推進システムがどのように機能して事故となったのか、システムは事故に対応できたのか等の検証は欠かせない。

④「100万分の一の確率でも対策すべきか?少数意見への対応はどうするか?」の質問がでた。いずれも科学技術に付きまとう基礎的なことがらであり、30年以上もこれらの問題を抱えながらやってきた専門家の質問としては“初歩的”すぎる。おそらく質問者は「低い確率は対策の必要なし・少数意見は対応せずともよい」と考え対応してきたのだろう。事故後、そのようなやり方に対する批判の言説が増え、それに抗すべく畑村氏の見解を訊いたのではないかと思われる。少数意見に対する畑村氏の回答は納得できる。

⑤山崎委員(地震小委・委員長でもある)の質問「答が出ないとき結論はどうするか」を聞いて朝日新聞「プロメテウスの罠」(10月19~20日)に載っていた彼の見解を思い出した。

山崎氏が主査だった原子力安全委員会WG(作業部会)で、六ヶ所村の下をとおる全長約100キロの断層が問題になり意見が分かれた時、山崎氏は「多くの委員が活断層でないということで了解した。異論はあったが強い根拠があるわけではない」と結論づけた。「95%活断層に間違いはない」と主張する池田東大准教授のことばに、記者は山崎氏を取材、「池田説をもっと尊重する余地はなかったのか」の記者の質問に山崎氏は次のように応えている。

「活断層だと認めれば、六ヶ所村再処理工場も隣の東通原発も補強が必要になり稼働できなくなる。原発は必要だ。(結論が)わからない時、最後は原子力に対する価値観で決まる」

結論がでなければ出なかったと報告すべきではないか?との質問には

「それは建前。原発行政について政治は判断を逃げ、我々に責任を押し付けてくる。そんな判断をしたくないが、そういう社会の仕組みになっている」

記者に山崎氏は「事故の前と後では戦前と戦後くらい世論が変わってしまった」とも言ったという。

上記④の質問者と同様、これまでのあり方にNOを突き付けられている専門家は、先の暗い穴ぼこからぬけだせないでいるようだ。

⑥ 県から今後の検証の整理について案がだされたが、これは検証開始前にやるべきことである。技術委は検証の方向性を議論しないまま、すでに3種類の検証報告を受けてしまっている。


●議論の概略を報告します。

第3回事故検証技術委員会
10月30日 13:30~16:10 会場:新潟県自治会館 講堂
出席:委員8人(8人欠席) 説明者 畑村洋太郎氏 淵上正朗氏
 *北村委員が健康上の理由から9月に退任、委員は16人となりました。
資料http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1351544498583.html

1 飯沼防災局長挨拶
   立地県の目線で検証をお願いしたい。

2 原子力安全対策課・須貝課長から
・ 北村委員から9月に「体調不良により退任したい」旨申しであり、受けた。設備小委・委員長は岡崎氏。
・ 政府事故調はすでに解散しているので、今日の2人の発言は公式の立場としてではない。
・ 検証の整理については、「法・制度上、技術的、マネジメント上の課題」の3項目で課題をまとめることを考えている。この観点での議論をお願いしたい。

3 畑村氏説明(資料で強調した部分)
事故はどんなものだったか
・ 津波による配電盤水没が原因の全てと考えるのが実態だ。
・ 現場力がなかったら、ひどいことになっていた。
・ 事故の本質(最大の事柄)は周辺住民が強制的に住んでいるところから引き離されたことだ。
事故の全体像
不具合を起こした真の原因
・ 外的要因(津波)を想定しなかったことに尽きる。
最終報告の総括と提言
委員長所感で述べた項目
・ ありうることは起こる、ありえないと思うことも起こる
・ 見たくないものは見えない、見たいものが見える
・ 全ては変わる。変化に柔軟に対応する
・ 可能なかぎりの想定と十分な準備をする
・ 形を作っただけでは機能しない 仕組みは作れるが目的は共有されない
・ 危険の存在をみとめ、危険に正対して議論できる文化を作る

4 淵上氏報告
事故原因のポイント
・ 全電源喪失(1~4号機):非常用DGは生き残ったが、電源盤が浸水した
・ IC隔離弁フェールセーフ機能による停止認識できず(1号機)
・ 注水作業での苦労と失敗(1~3号機)
・ SR弁操作(2,3号機)、ベント操作(1~3号機)の手間取り
事故のネックは配電盤である。
2号機3月15日6:00にSC(圧力抑制室)の圧力がゼロに落ちているのは圧力計の故障によるものと考えられる。
徹底的な安全対策までいかずとも、手はあるのではないか。どこまで考えるのか費用対効果でいく考え方もある。いっさい考えなかったことがよくなかった。起こると考えてねばり強く準備することが必要。絶対ではなく何を目指すか減災の考え方が必要。

5 質疑応答
(吉川)*SPEEDI開発の経緯を15分近く説明、途中二度座長、「手短に」と指摘
ERSS(緊急時対策支援システム:SPEEDIに放射性物質放出情報等を送信する)については、複数基同時に把握するシステムを考えるべき。
仏、米のようにsafety engineer のシステムを考えるべき。
日本のSA(シビア・アクシデント)対応は世界から遅れている。

(畑村)
うまく行くやり方では、同じことを繰り返す。機能しなくても正しい対応はどうしたらいいかを考えることが必要。放出データがなくてもSPEEDIは使えた。社会が求めていることを考えることが必要。事が起きたとき、経験知ではなく、正しい対応ができる人を配置する必要がある。

(衣笠)*欠席のため事務局が質問説明
100万年に1回の確立でも対策すべきか?少数意見にも対応すべきか?

(畑村)
全体像をとらえるにはPSA(確率論的安全評価)は有効。確立が低いことの裏には「考えなくてよい」という危うさがある。どこまで気づいて計算したかをみるべき。気づかないことはたくさんある。気づかないことで災害は起きるとしたら、起きても被害を最小にする考え方で何を対策するかという減災の考え方を原子力に入れる必要がある。少数意見には真実もあり、そうでないものもあり、一つずつ個別に考えるしかない。さまざまに違うところで知見が増えていき、全体で進歩していく。少数意見は真実に近づく一歩かもしれない。謙虚に柔軟に考えるべきと思う。

(梶本)
PSA については同感。SPEEDI は情報源がないまま間違ったデータが出ることにもなる。役立つ情報だと考えるべきということでいいのか?

(畑村)
住民サイドからみれば、使い方はあった。福島の人は怒っている。情報を出さなくてよかったのかという問題が出てくる。作った人と実際の場面との関係は、難しい問題だ。

(淵上)
天気予報はあったろう、情報がなかったからダメだったというのはおかしいじゃないかという主張はした。

(香山)
科学技術と社会科学との融合を考えて議論はあったか?

(畑村)
社会に当てはめると問題はたくさん出てくる。議論はいろいろあった。

(香山)
報告書は全体像を示していると思う。飛躍がなくて読みやすい。SPEEDIでも議論できたらよかった。

(畑村)
これが精一杯。議論はいやになるくらいやった。

(鈴木元)
仮に同じことが起きたら、SPEEDIは公開すべきか?

(畑村)
すべきと思う。

(立崎)
配電盤等の多重性(同一機能・同一性質の系統又は機器が2つ以上あること)、多様性(同一機能・異なる性質の系統または機器が2つ以上あること)は何も津波で考えずとも、火災等でも考えうる。多重性、多様性での問題は他にどのようなことがあるか?

(畑村)
考え落としがある。まずくいくことも半分入れて考えることが必要。準備できずにまずかったことはたくさんある。作業員の線量計不足については「なければ作業しないのが当たり前だ」と海外で酷評だ。線量計は届いたが、使えなかったという信じられないことが起きた。
(淵上)
多重性、多様性は機能しなかった。地震のみを考えた多重性、多様性だった。幅を広げて考えるべき。配管がCクラスになっているのが気になっている。

(山崎)
答が出ないときの結論をどうするか?

(畑村)
過去に起きたことは起こる。記憶に繰り返しが残っていないと、ないことになってしまう。津波、洪水、噴火、大火災、起こると考えるしかない。完全な対応でなく減災の考え方で可能な対応をみんなで議論できることが重要。仏では、日本は議論しないからきっと事故は起きると思っていたという。議論を徹底すれば、対応もできてくる。

(香山)
日本も議論はやっている。社会科学的な部分は少ないが、欧米がいいというのはまちがっている。

(鈴木元)
9.11の教訓はなにか?TMI(スリーマイル島)、チェルノブイリ、福島と経て原子力の安全技術は成熟か否か?

(畑村)
ウエイトを1点に集中すると、他をみなくなる。KKで火災が消せなかった。地下の配管が損傷することを作った人は考えなかった。普通の設計基準でやると、致命的になるという発想が必要。KKでクレーンの継手が壊れた。事故が起きたらという発想ができていない。原子力は学んでいない。9.11は情報提供を受けながら日本には関係ないと伝えなかった。取り込もうとしなかった。

(立石)
提言をどう生かすか、電力会社、国、規制委にもない。安全神話は根強く残っている。

(畑村)国民全体で受け止めて考えていくべき。これだけ大きな災害なのだから、みんなが考えることが必要。自分で考えて行動すべき。安全神話はひそかに続くだろう。それまでの考え方を引きずってしまう。考え方を変えて危険神話を作るべきかもしれない。

* 16:00で畑村氏、淵上氏退席

(立石)
検証の整理項目は技術に偏っている。安全文化、被災者の視点からどうとらえるか、その視点が必要であり、議論としても不足しているのではないか。

(須貝)
取り入れて検討したい。

(梶本)
10月25日規制委の会合で「重大事故(=SA)の要件は許認可条件となった。今後検討・議論が進んでいく。新潟県として特性を把握して、防災計画を中心にSA対策を進めるべきである。

(吉川)
いつまで検証していくのか、技術委の方向性が見えない。

(鈴木座長)
県と相談しながらやっていく。次回は東電から報告してもらう。4つの報告を受けて福島の視察も実施して、年度内に報告を出したい。

(香山)
県の検証の整理案は科学技術論に偏っている。社会科学と融合した議論が必要だ。いい構成でやってもらいたい。

(須貝)
整理案はハード面にとなっているむきもあり、ソフト面についても考えていきたい。意見をいただきたい。


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"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? No10

“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ
「再稼働するの? できるの?」その10 第2楽章-4>
  *シリーズのナンバーがNO6でずれていました。先回は「その8」となっていますが、今回で修正し「その10」とします。

第2楽章―4 中越沖地震後に再稼働した1,5,6,7号機の安全性は確保されているのか
①東電の点検(その2)

中越沖地震で、シビア・アクシデントはなんとか回避できるけれどこれ以上は無理、超えたらシビア・アクシデントしてしまうとして設定された地震動(基準地震動S2)の最大3.78倍(1号機)の加速度を受けながら、

なんとか持ちこたえた7基の原発について

東電は、おそらく“冷や汗”をかきながら、しかし“断固”として

「3つの安全機能は確保された」

と胸をはり、

“1日も早い7基再開”を「会社の正義」に掲げました。

● 「再開」へのプロセスと条件

県知事、柏崎市長、刈羽村長は地震の翌日連名で「安全協定」に基づいて「再開は地元の合意を得ること」を申し入れましたから、再開へのプロセスは次のようになりました。

東電が点検する 

点検結果を保安院と新潟県・柏崎市・刈羽村に報告する 

保安院は東電の点検をチェック、その結果を原子力安全委員会に報告する
原子力安全委員会が保安院報告(評価)をチェックする
新潟県技術委員会は東電の点検結果と保安院・原子力安全委員会報告(評価)をチェックする

東電は地元説明会を開催する等、地元理解を求める

新潟県技術委員会チェックの結果を受けて知事・市長・村長が協議する

つまり「再開」の条件は
・ 東電の点検を保安院、原子力安全委員会が妥当と認めること
・ 新潟県技術委員会が東電・保安院・原子力安全委員会の点検・評価を妥当と認めること
・ そのうえで、知事・市長・村長が再開を認めること
と、なります。

● 「被災原発」点検方針

東電の点検は、保安院に設けられた各種委員会の審議を受けながら進められました。

中越沖地震後1か月半ほどたった9月4日には「第1回運営管理・設備健全性評価WG(ワーキング・グループ)」が開催され、中越沖地震後の柏崎刈羽原発の点検方針が審議されました。

そこで、議論を圧倒的にリードしたのは、小林英男委員(当時横浜国立大学特任教授)でした。
彼の発言です。

「(被災した柏崎刈羽原発を)設計基準で点検したら全部アウトになる。そういう点検は止めて7基の実力はどうなのか、その観点で点検することがだいじだ」

なんと、小林氏は

「S2を超えた揺れだって?たいしたことないさ、壊れたわけじゃなし。設計基準を基に点検したら、まだ使えそうな原発が基準値オーバーで”お払い箱“になってしまう。もったいないよ。まだまだ実力はあるさ。この際どのくらい実力があるかを点検すればいい。そうすれば、日本の原発の”優秀さ“を証明することにもなる。東電もwin、電事連も原発メーカーも、われら専門家もみーんなwin、winだ」

と言ったのです。

そしてWGの委員たちは、この被災原発という未知の領域に対する畏怖や安全に対する慎重さのかけらもない発言に同意したのです。

委員だけではありません。保安院は小林委員の指摘を受けて1か月後に「第1回運営管理・設備健全性評価WG資料に対する意見等を踏まえた対応について」を発表し、つぎの方針を示しました。

「外観上特に損傷が認められない機器について、地震による応答が認可された工事計画上の耐震設計における許容応力を超える場合には、ご指摘のとおり、機器の実力としての評価を行う必要があると考えている」

つまり保安院はこう言ったのです。

「目で見て壊れていない機器が、コンピュータの計算で“設計時の基準(安全を担保する値)”を越えたら、“この機器は設計時の基準より実力があるのだ”と判断する」

つまり、一言で言えば

「外側が傷んでいなければ、基準値を超えても、OKにする」

そして、これが点検方針となりました。

7月に国会に提出された“国会事故調報告書”は、規制庁であるはずの保安院が電力業界の「とりこ」となり、“電力業界に都合のよい規制”に終始していた実態を指摘しました。電事連が、保安院や専門家達に強力にはたらきかけた事実も明らかにされています。そしてその電事連の中心は東電です。

原子力ムラ住人たちがでっち上げたともいえる柏崎刈羽被災原発の点検方針に係って、国会事故調報告書が指摘したような電事連等の強力な働きかけがあったのかもしれません。

まさに「7基早期再開」を前提とした点検方針のもと、1,7号機から点検は開始されました。

*余談ですが、点検方針をリードした小林英男氏は、規制委員会が設置した「原子力施設安全情報申告調査委員会」(内部告発等の安全情報について規制庁が行う調査を指導、助言、監督するための委員会)の委員に任命されています。委員名簿の肩書には「国立大学法人横浜大学 安心・安全の科学研究教育センター客員教授」とありました。3.11直後NHK・TVニュースの解説者として頻繁に登場し「安全です」を繰り返し、ネット上で「アンゼン関村」と呼ばれた関村直人氏も、委員の一人です。
委員は総勢11人ですが、いったいどんな指導・助言をするのでしょうか?

(10月27日)


 

"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? No9

“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ
「再稼働するの? できるの?」その8 第2楽章-4>

今日は 第2楽章―4 中越沖地震後に再稼働した1,5,6,7号機の安全性は確保されているのか
です。

中越沖地震で1号機は、シビア・アクシデントはなんとか回避できるけれどこれ以上は無理、超えたらシビア・アクシデントしてしまうとして設定された地震動(基準地震動S2)の3.78倍の加速度を受けました。

よくもまぁ、シビア・アクシデントしなかったものだと、今さらながら冷や汗が出るようですが、その1号機は2010年8月に営業運転を再開しました。

7基のうち営業運転を再開したのは7号機(2009年12月)、6号機(2010年1月)、1号機(2010年8月)、5号機(2011年2月)の4基です。

東電は「安全性は確認した、耐震安全性も大丈夫」と言っていますが、事故で明らかになった東電の不適切なリスクマネジメントはKKについても同様ではないでしょうか。

第2楽章―4は ①東電の点検、②未解明の問題、③東電の「安全」を取り上げます。

① 東電の点検
●「3つの安全機能は確保された」が東電の点検スタンス

「3つの安全機能」とは
・ 原子炉を止める:緊急停止信号が出ると制御棒が原子炉の底から燃料集合体の間に押し上げられ、核分裂反応が止まります。
・ 原子炉を冷やす:燃料集合体内部にたまっている核分裂生成物質が発する熱を水を使って冷やし続けなければなりません。福島事故はこの機能がはたらかずに、①~3号機がメルトダウンしました。
・ 放射能を閉じ込める:放射性物質を環境に流さない機能です。

中越沖地震発生時に運転中だったのは3,4,7号機、2号機が定期検査が終了して起動中、1,5,6号機は定期検査中で原子炉は停止していました。

東電と保安院は口をそろえて「2,3,4,7号機の“止める、冷やす、閉じこめる”は機能した」と言ったのですが、実態は…

「止める」は4基とも○、「冷やす」は△、「閉じこめる」は☓、でした。

「冷やす」は△:地震によって冷却に必要なボイラー(1~4号機側に4台、5~7号機側に3台)が1~4号機側の1台をのぞいて全機停止。

動いた1台で、ブローアウトパネルが脱落して原子炉建屋の機密性がくずれていた3号炉を優先して冷却(冷温停止16日23:07)、4号炉は17日6:54にようやく冷温停止、運転員たちは拍手をして喜んだそうです。

ボイラーが使用できない2、7号炉は、圧力抑制室を使った緊急避難的な冷却で、2号炉は16日19:40、7号炉は17日1:15に冷温に達しました。

2号炉を除いて残る3基は通常の冷却時間(約10時間)を越え、4号炉に至っては倍の時間がかかりました。

福島事故と違うのは、外部電源がかろうじて確保できた(2本生き残りました)ことです。福島事故では、外部電源が地震でだめになり、非常用ディーゼル発電機もだめ、全交流電源喪失SBO(Station Blackout)となり、冷却不能→自ら発する熱で燃料が溶けだし→メルトダウン→溶けた燃料が格納容器内に落ちた(メルトスルー)に至り、その間水素爆発、ベント等で大量の放射能が流れだし、閉じこめ機能も瓦解しました。

KKでは、「冷やす」はかろうじてできたのですから△ですが、海に空に放射能が流れでたのですから(詳細は先回をご覧願います)「閉じこめる」は☓です。

なのに、東電と保安院、原子力安全委員会は「閉じこめるはできた」と言うのです。

東電や保安院の説明会で「6号機、7号機から放射能が流れでたではないか」と質問したのですが、答えは…

「6号機は使用済み燃料プールから、7号機は排風機停止操作が遅れて放出されたのであり、原子炉内の放射性物質は閉じ込めることができた」

どうやら「閉じこめる」機能は原子炉内の放射性物質を原子炉内に「閉じこめておく、外部に出さない」という限定的なことのようです。6号機と7号機からもれ出た放射性物質は原子炉由来であり、地震による被災の結果の流出なのですから、「閉じこめる」機能はやはり☓だと思います。


「3つの安全機能」の実態は、辛くも○は「止める」だけ、「冷やす」は△、「閉じこめる」は☓、にもかかわらず、東電は「3つの安全機能は働いた!」と言い保安院も認めたのです。

これは、東電のリスクマネジメントの根本にある思想を表しています。
・結果がOKの範囲内であれば○とする。途中経過にある問題は徹底的に検証されない。よって、問題の改善も徹底されない。検証や改善のコストをできる限り低く抑える。

 東電ばかりか保安院も、ダブルチェック機能を果たすはずだった原子力安全委員会も、「冷やす」が△であったことを重要視しなかった結果、中越沖地震が与えた「冷やす機能△」の教訓は少しもいかされることなく、2011年3月11日を迎え、3基がメルトダウン・スルーという最悪事故を発生させたのです。

・不利益な事実はできうる限り言い逃れ、法律や規則に謳われている事実でなければ、問題ないとする。

以上2つの「リスクマネジメント根本思想」は、中越沖地震後の点検のバックボーンでもありました。

点検のありようについては次回にします。

(10月18日)

"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? No8

<“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ
「再稼働するの? できるの?」その7 第2楽章-3>

今日は 第2楽章―3 中越沖地震はKKにどのような被害をもたらしたのか です。

先回、解放基盤表面における中越沖地震による地震動が基準地震動と比べてどうであったか、について述べました。

2~7号機の設計の基準となっている旧耐震指針(1978年制定)では基準地震動がS1(300ガル)とS2(450ガル)の2種類があって、1号機東西方向の地震加速度はS2の3.78倍でした。

S2は、およそ現実的でないと考えられる限界的な地震動、と説明されていますが「限界的な地震動」について小岩昌宏氏(京都大学名誉教授)は次のように説明しています。

「万が一、そのような地震が起こったとしたら、原子炉を構成する部材・機器が変形してもやむを得ないが、原子炉が壊れて最悪の事故が起こることは回避しよう、として定められた基準であった」
(「科学 2012年9月号 巨大地震を経験した原発は健全か? 小岩昌宏」岩波書店)

つまり1号機はシビア・アクシデントはなんとか回避できるけれどこれ以上は無理、超えたらシビア・アクシデントしてしまうとして設定された地震動の3.78倍の加速度を受けたのです。

1号機だけではありません。5,6号機上下方向を除けば、すべてS2を超えた加速度を受けたのです。被害が甚大になるのは当然です。

被災の概要です。

○ 中越沖地震に係る“不適合”数
“不適合”とは“故障、トラブル”です。東電は“故障”を“不適合”と表しています。東電は“事故”は“事象”と言ってきましたが(保安院も同様)、規制委田中委員長は9月26日に3号機燃料プール鉄骨落下(9月22日発生)について「事故だ」と言明し、今後“事象”という表現を改める考えを示しています。東電は“イメージ”が悪い表現を避けています。

正しい日本語で言い換えましょう。

○ 中越沖地震による故障個所数(2010年4月30日時点)

1号機 695(1985年)
2号機 428(1990年)
3号機 483(1993年)
4号機 438(1994年)
5号機 473(1990年)
6号機 275(1996年)
7号機 246(1997年)
その他 733   合計 3771

( )は運転開始年です。

古い号機が故障数が多くなっています。

1~5号機の原子炉型はBWR、6,7号機はABWR(BWRの改良型)と、炉型構造の違いも影響しているかもしれません。

○建屋外部の被災

①前号炉原子炉及びタービン建屋の基礎が隆起(建屋がもりあがった!)

1号炉:58.9~66.3ミリ
2号炉:63.6~76.6ミリ
3号炉:81.6~89.2ミリ
4号炉:63.8~81.7ミリ
5号炉:101.0~118.0ミリ
6号炉:97.4~111.9ミリ
7号炉:77.3~101.7ミリ

②敷地内各所で地盤が沈降、隆起、液状化、ひび割れ。

③構内道路は随所で陥没。一時通行不可。1,2号機近傍で消火用配管5か所損傷。

④3号機所内変圧器火災。消火に2時間。(衝撃だった黒煙)

⑤1号サービス建屋で環境放射線監視データ伝送不能。

⑥事務建屋、扉のゆがみにより緊急時対策室に入室不可。消防とのホットライン使用不可。

⑦固体廃棄物貯蔵庫、廃棄物ドラム缶318本が破損。ふたがあいたり、へこんだり。

⑧開閉所、500キロボルト送電線停止。

⑨展望台、北側法面一部崩落。

⑩被雷鉄塔、破壊。

⑪クレーンレール、破損、湾曲。

⑫放水口、護岸沈下。

⑬北防波堤放水口より6号機使用済み燃料プールからの漏えい水流出、1.2トン、9万㏃。

○ 建屋内部の被災

① 原子炉圧力容器
・ 1号炉:原子炉プールからプール水があふれた(定期検査中で上ぶたが開放されていた)。
・ 5号炉:ジェットポンプのインレットミキサーにずれ。燃料集合体1体が跳び上がり、指示金具から脱落。再循環ポンプのコンスタントハンガー(防振器具)の指示値に異常。
・ 7号炉:制御棒8本のガイドローラー部にひび割れ。

② 主蒸気関連
・ 5号炉:主蒸気配管のスプリングハンガー(防振器具)の指示値に異常。
・ 7号炉:主蒸気逃し安全弁の開度計のロッドが折損。

③ 使用済み燃料プール
・ 1~3号炉:冷却水ポンプの停止によりプール水位低下
・ 4,7号炉:使用済み燃料貯蔵ラック上に水中作業台落下。
・ 全炉:スロッシングによりプール水があふれでた。6号炉では電線ケーブルを通って海に流出。

④ 主排気筒
・ 1~5号炉:ダクトつなぎ目にずれ。
・ 7号炉:ヨウ素、コバルト、クロム合計4億㏃が大気中にじしんご3日間流出。(原子炉自動停止後の操作手順ミスでタービングランド蒸気排風機の停止操作が遅れたため、復水器内にたまっていた放射性物質がタービングランド蒸気排風機に吸引されて排気筒から放出されたと推定されている)

⑤ その他
・ 7号炉非常用ディーゼル発電機の基礎部コンクリートにひび割れ。
・ 1号炉原子炉建屋外側の消火用配管が破断、建屋地下に2000トンの水が土砂とともに流入。
・ 3号炉のホウ酸水注入系配管の保温材が大きく変形し破損。
・ 3号炉の原子炉建屋ブローアウトパネル脱落。
・ 4号炉の中央制御室内の中性子モニターおよび制御棒監視装置の制御盤の電源異常。

⑥ タービン建屋関連
・ 全号炉のタービンで、車室や翼に接触ないし摩耗痕。
・ 7号炉:多数のタービン翼根元が破損。蒸気タービン軸受台基礎部コンクリートにひび割れ。復水器基礎部にひび割れ。
・ 4号炉:海水引き込み配管が破裂し、海水24トンが管理区域内に流入。
・ 2,3号炉:ブローアウトパネル脱落。


上記の被災の多くが、福島原発事故で明らかになったように地震への備えを怠っていた東電が自ら招いた被災だったと言えます。例えば、使用済み燃料プールのスロッシングは、地震発生時に起きることは容易に推察でき、どの規模の地震でどの程度のスロッシングが発生するのかもコンピュータで予測でき、その対策も決して困難ではありません。対策を省けば被害が大きくなるのは当然です。スロッシング対策を省略していた東電は、海に放射能を流したのです。

主排気筒から3日間も放射性物質が流れ続けたことは明らかな人災です。福島事故のように住民避難につながるものではなかったのですが、だからといって、そのようなミスが一片の説明で終わってしまい、なんの責任追及もなくていいのでしょうか?4億㏃の放射性物質が周辺の環境や人体に何の影響も与えなかったと言い切れるのでしょうか?

発電所が気付かなかったのですから、もちろん周辺住民はそんなことが起きているとは思ってもみませんでした。私はちょうど放出中に5号機から3キロほどに住む姉を訪れていたのですが、後日放出が明らかにされた時姉は「ごめんねー。あんたを被ばくさせてしまった」と電話をかけてきました。

自分がしたことでは全くないのに「ごめんねー」という姉の思いを東電幹部はどう思うでしょうか?「被ばく?何をバカな」と笑うのでしょうか?

姉は「すべての原発を廃炉に!刈羽村生命(いのち)を守る女性の会」のメンバーとして地震前から毎春桜の花の調査を続けていました。桜は環境の変化に敏感で、排気ガス等にも反応し花に異常が見られたりすることから、原発稼働で環境に流される放射能の影響を桜の花の異常率で調べる運動が全国的に展開されていて、姉の会も取り組んでいたのです。

調査対象は刈羽村内公園の桜です。公園は排気筒から流される放射性物質が風にのり、遮るものがない平野を超えて長岡市との境の山々にぶつかる地点にあります。公園からは7基全ての排気筒が見えます。

異常花の典型はおしべの花弁化です。他に花弁が少ないもの、切れ込みが深くはいっているもの、花弁が異常に不揃いなもの等です。花を一つ一つ調べる辛苦な作業です。

地震の翌年2008年の桜の花の異常率は例年の7~8倍でした。桜の花芽は7月頃につくのだそうで、中越沖地震が起きた頃はちょうど一番細胞分裂が盛んなころだそうです。

例年の7~8倍の異常花が7号機主排気筒から流れでた放射性物質に由来するのかどうかは、さらに丹念な調査がないと分からないのだろうと思います。その調査は姉たちの会が背負いきれるものではありません。原発で利益を上げることだけが”正義“の東電が取り組むはずがありません。「原子炉からの放射性物質は何回もフィルターでろ過して十分線量を低く抑えて放出するから大丈夫」「排気筒は十分高くしてあり(1~5号機は150mほど、6,7号機は75mほど)放出された放射性物質は上空で拡散するから大丈夫」と言い続けている保安院が調査をするわけがありません。

放射線量が低ければ大丈夫→低線量被ばくの過小評価、放射性物質は拡散すれば大丈夫→閉じ込めきれない放射性物質をごまかすための拡散主義、この2つが原発周辺の環境・住民を脅かし続け、福島事故では住民に無謀・無用な被ばくを強い、今また災害放射性廃棄物の広域処理という政策の強行で全国各地の環境・住民たちに被ばくを強要しています。

(10月11日)

"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? No7

<“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ 
その6「再稼働するの? できるの?」第2楽章-2>

先回の説明

「KKのように複数ユニットがある場合は、全基に共通の「解放基盤表面」という地下の岩盤上に表層や構造物がないものとして設定した仮想的な岩盤表面で想定した地震の加速度「基準地震動」を策定し、基準地震動がそれぞれの建屋最地下階でどのくらいの加速度になるかを計算して出します」

の「基準地震動」について、補足します。

* 基準地震動は原発が地震に耐えうるように設計する際の基準となる地震動です。

* 基準地震動は耐震指針に基づいて策定されます。

* 原発設計のための耐震指針が制定されたのは1978年です。この指針は1995年の阪神淡路大震災を契機に見直され2006年に改定されました。1978年版は旧指針、2006年版は新指針とよばれていますが、規制委員会は新指針を全面的に見直し来年3月末までに改定案をまとめたいとしています。

* では、旧指針以前はどうなっていたのでしょうか? KK1号機は旧指針制定以前1977年に原子炉設置許可が出ています。福島第一1~4号機の原子炉設置許可年は、1号機・1966年、2号機・1968年、3号機・1970年、4号機・1972年です。福島1号機と同年に設置許可された敦賀1号機、美浜1号機について田中三彦さんが書いています。

「当時、日本には原発の中枢構造物に関する法的な技術基準が存在しなかったため、この二つの原発の中枢構造物はなんと化学プラントの技術基準に準じてつくられているのだ」(「まるで原発などないかのように 地震列島、原発の真実」(原発老朽化問題研究会編 現代書館)

1978年以前に設置許可された原発はおそらく似たような手法で耐震設計をしていたものと思われます。

「1978年に耐震指針ができたなら、それ以前の原発がその指針にちゃんとあっているかどうか、調べればいいじゃない」と思いますよね。

基準が改定されたら、それ以前に許可されたものを新基準でチェックし、新基準に適応させるバックフィットは法制化されていませんでした。今年6月20日に成立した「原子力規制委員会設置法」で初めて法制化されたのです。

新基準制定時に保安院は、全原発について、新基準で耐震安全性は確保されているか調べるバックチェックをし、報告と必要なら耐震強化工事をするよう指示しました。しかし法的な裏付けのない指示のため、各電力会社はバックチェックを先送りし、2010年12月6日時点で最終報告書提出済みはKKの1,5,6,7号機と浜岡原発だけ、東電福島第一の最終報告書提出予定は2016年というありさまでした。

新基準にあっているかどうか10年もかけなきゃわからない、というならよほど耐震安全性に問題あり、と思うのがフツウではないでしょうか?保安院は、そのような問題意識をもつこともなく、東電に最終報告を催促するのでもなく、いわば東電の言うなりになっていたようで、国会事故調は「規制する側が電力会社の“虜(とりこ)”になっていた」と評しました。

* KKでは1号機を除いて旧指針のもとで策定された基準地震動を基に設計されました。

旧指針では、基準地震動が2種類あります。

・ S1(近い将来起こりそうなもっとも影響の大きい最強地震動): 300ガル
・ S2(およそ現実的でないと考えられる限界的な地震動): 450ガル

* では、この基準地震動と比べると、中越沖地震によるKKへの地震動はどうだったのでしょうか?
これはコンピュータで計算してだします。

* 解放基盤表面における中越沖地震による地震動(< >はS2 (450ガル)の何倍かを示しています)

1号機 南北842<1.87> 東西1699<3.78> 上下591<1.31>
2号機 南北812<1.80> 東西1011<2.25> 上下545<1.21>
3号機 南北994<2.21> 東西1113<2.47> 上下618<1.37>
4号機 南北974<2.16> 東西1478<3.28> 上下749<1.66>
5号機 南北515<1.14> 東西766<1.70> 上下262<0.58>
6号機 南北580<1.29> 東西539<1.20> 上下422<0.94>
7号機 南北667<1.48> 東西613<1.36> 上下46-<1.02>

5~7号機が最大1.7であるのに対して、1~4号機の最大は3.78、1~4号機が強い地震動を受けたことがわかります。

1~4号機(柏崎市寄りで通称“荒浜側”)と5~7号機(刈羽村寄りで通称“大湊側”)の間には建設時に掘削した際の土砂を積み上げて作った展望台があります。とはいえ1~4号機と5~7号機が2キロ、3キロと離れているわけではありません。

さして離れていないお隣同士で、何故そのように地震動に差が出たのか、東電は説明しなければなりませんでした。


* では今日の本題「何故そのように地震動に差が出たのか」の東電の説明です。

「新潟県中越沖地震の揺れの特徴」(「柏崎刈羽原子力発電所の取組み 新潟県中越沖地震後の状況 東京電力柏崎刈羽原子力発電所」より)

新潟県中越沖地震の揺れが1~4号機(荒浜側)が5~7号機(大湊側)と比べて、大きな揺れを観測した要因は次の3つと考えています。
① 震源において同規模(マグニチュード6.8クラス)の地震より強い揺れを生じた地震であった。
② 地震の揺れが地盤深部の複雑な形状を通過する間に、揺れが増幅された。
③ 1~4号機側では敷地地盤の古い「しゅう曲構造」により、地震の揺れが集中し、敷地への影響が大きくなった。(今回の地震と過去の海域で発生した地震を調べると、1~4号機側の方が5~7号機側に比べておよそ2倍の大きさであった)

* この説明は、柏崎刈羽原子力発電所の地盤の「深刻な問題」を明らかにしています。

   地盤深部は複雑な形状 + 地盤がしゅう曲構造 
  = 揺れが強くなる = 地震の影響を受けやすく、地震に弱い

東電は説明を通して、地盤に関するこの「深刻な問題」を公に認め、保安院・原子力安全委員会もこの説明を了承しました。国も「深刻な問題」を認識したのです。

* しかし、この「深刻な問題」は中越沖地震で初めて分かったことではなかったのです。

地元の人々は、KKの誘致(柏崎市議会誘致決議・1969年3月、刈羽村誘致決議・1969年6月)の段階で、敷地地盤の問題を次のように指摘し、建設反対を訴えていました。

① 柏崎刈羽地域は油田地帯であり、活しゅう曲帯にある。
② 原子炉建屋、タービン建屋直下に、多数の断層がある。
③ 敷地周辺一帯は地殻構造運動が続いている
④ 岩盤が軟弱で地震には耐えられない。

「豆腐の上に原発を建てるのは止めてくれ」という訴えをしり目に、1号機は1978年12月に着工となり、地元の人々は1797年に「1号炉設置許可取り消し」の裁判を起こしました。

この裁判は、2009年4月に最高裁で棄却となりました。

* 旧指針では「原子炉建屋等、重要な建物・構造物は岩盤に支持されなければならない」ことになっていました。でも、KKの岩盤は…軟弱?

KKの原子炉施設は、海面下40メートルほどを掘削して西山層の上にある地層を取り除いて西山層の中に建てられています。西山層について、立石雅昭氏(新潟大学名誉教授、新潟県技術委員会委員)は次のように書いています。

「(西山層は)およそ350万年前から100万年前にかけて堆積した塊状の泥岩を主体とした堅い岩盤というに値しない岩石であり、土質工学的には軟岩に分類され、重力式ダムの基礎岩盤としては不適格であり…含水比が高いため、他地域の原子力発電所の地盤と比べて強度が著しく低い」(「地震と原子力発電所 3 新潟の原子力発電所」立石雅昭 新日本出版社)

まさに「豆腐の上の原発」です。しかも…

7号炉は西山層に接して建てられていません。原子炉建屋直下全域の基礎地盤は厚さ約7~17mの「セメント系人工岩盤(MMR:マン・メイド・ロック)なのです。このMMRについて、「原子炉設置変更について(答申)」につぎのように書かれています。

「マンメイドロックは、掘削工事で発生した西山層の泥岩に水を加えて細かく粉砕しスラリー状(液体の中で固体が存在する状態)にしたものに、現地の砂及び高炉セメントに石膏を多めに加えた固化層と同等またはそれ以上の特性を有しており、また、セメント系材料 であること及び使用に供せられる状況から、長期にわたる安定性についても問題ないものと判断する。支持力については、…常時の接地圧と比較して十分な耐力を有し、また、地震時の最大接地圧に対し支持力が問題となるもので
はないと判断する」

「答申」のどこを探しても、なぜMMRが基礎地盤として使用されるのかについては、記載されていません。「7号炉については、原子炉建屋直下全域の基礎地盤は厚さ約7m~約17mの「セメント系人口岩盤(MMR マンメイドロック)」でおきかえることとしている」とあるだけです。

1~6号機地盤の一部にもMMRが使用されています。<新潟県HP 原子力安全対策課 FAQでの東京電力の回答>

1~5号機: 原子炉建屋基礎の一部で、地質調査として実施された試掘坑の跡を、まわりの地盤と強度を合わせた無筋コンクリートのMMRで埋め戻してある。

6号機: 原子炉建屋基礎の一部で、地質調査として実施された試掘坑の跡を、まわりの地盤と強度を合わせた無筋コンクリートのMMRで埋め戻してある。地盤掘削後、周囲よりも低くなった3分の2には、およそ3m~7mの施行深さで、周辺の地質の強度に合わせた無筋コンクリートMMRで埋め戻してある。
                   
1~5号機では、試掘坑の埋め戻しにMMRが利用されていますが、6号機では基礎地盤の追加(3分の2)として、7号機では基礎地盤にかわるものとして、MMRが利用されています。

“原発が 豆腐の上で 揺れている”…
“お豆腐の 上で動かす 7基かな”… 

などと、呑気なことを言っている場合じゃありません。

昨日(10月7日)の朝日新聞「災害大国迫る危機 軟弱地盤に3800万人 地震、揺れ増幅の恐れ」のタイトルの記事がでていました。

「日本の人口の3割にあたる約3800万人が、地震で揺れやすい軟弱な地盤の上に住んでいることがわかった。軟弱な地盤は首都圏や大阪圏を中心に都市部で広がっており、巨大地震に見舞われると甚大な被害が生じる可能性がある。…地盤が軟らかいと揺れが増幅しやすく、地中の水が噴き出したり、家が傾いたりする液状化現象が起きることもある」

と、いうのです。新潟版紙面では増幅率が高い地域を赤く塗ったマップが掲載されていました。

県内で赤い地域、増幅率が高い地域は新潟市を中心に北は村上、南は長岡近辺まで、KKも含めた柏崎地域、柿崎から上越市にかけての海岸線です。

地震に弱い地盤に7基もの原発…ありえません。
(10月8日)
 

"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? その6

<“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ 
その5「再稼働するの? できるの?」第2楽章-2>

今日は「第2楽章 柏崎刈羽原発(KK)の現状(再稼働、できるの?)2 中越沖地震の地震動はどの程度であったか」です。

その前に、先回の「1 KK が際立って危険な理由とは」の①で

「基数・発電出力共に日本最大の原子力発電所であるKK は、1Fと同様に同時に複数基が深刻な事故を起こすと、どんな事故対応マニュアルが用意されていても、対処不能となる危険性があります」

とお伝えしたことについて国会事故調報告書から補足します。

国会事故調報告書第2部2.1.6「検討(本事故に関する総合的な検討)」の「5)複数ユニットや近接する原子力発電所の問題点」(200~202頁)の要旨です。

a.福島第1・1~4号機では、問題の相互作用、増幅作用ともいうべきマイナス面がうきぼりになったが、5,6号機ではユニット間の互助効果(6号機モータコントロールセンターからの電源融通)が見られた。複数ユニットは、事故の予防段階ではプラス、事故後の対応の段階ではマイナスの寄与があるように見受けられる。
b.複数ユニットを持つ発電所では、事故の際ユニット間の相互作用を考慮した保安規定が必要である。
c.本事故は大規模な自然災害が原子力発電所内の複数ユニットの原子炉に対して同時に同様な影響を及ぼし、さらに、互いに隣接する複数の原子力発電所に対しても影響を及ぼし得る可能性を示した。
*1号機の爆発によって飛散したがれきで→電源ケーブルが損傷し2号機復旧策の1つをだめにした。
*3号機の爆発で2号機の復旧作業は振り出しに戻された。
*3号機から流入した水素で4号機原子炉建屋が爆発した。
*1~4号機事故による発電所周辺の放射線量上昇で、5,6号機、さらに、福島第2原発の復旧活動に影響が出た。
福島第1は3炉型(1号機・BWR3, 2~5号機・BWR4, 6号機・BWR5)が併存し、6基それぞれに固有性があり、そのことも事故対応を難しくした一因であった可能性がある。
東通原発と東海第2原発以外は全て複数ユニットを持つ原発であり、複数ユニットが持つ潜在的な問題点について十分に考察する必要がある。
d.現在の安全目標は個々の原子炉を対象として設定されている。立地地域住民のリスクの公平性を考えるならば、多数のユニットが集中して設定されている原発に対しては、より保守的な安全目標が設定されるべきことも検討されるべきである。

国会事故調報告書は「国会による継続監視が必要な事項」を16項目挙げています。5に複数ユニットについて述べています。

5 複数ユニットの原子力発電所における運転態勢の改善
「複数ユニットのある全原子力発電所において、同時多発した過酷事故を想定した対応手順書を速やかに整備する必要がある。複数ユニットにより運転されている原子力発電所では、緊急時に実務を統率することは容易ではなく、特に炉型が異なる場合にはその難度が増すため、発電所ごとに模擬訓練を反復し、それぞれにとっての最善の方法を見出していく必要がある」


早速、柏崎刈羽原発7基の炉型を調べてみました。
1~5号機:BWR5 6,7号機:改良型BWR と、2炉型併存です。

柏崎刈羽原発は、国会事故調が「運転態勢の改善」を求めている典型的な原発です。

では、今日の本題「2 中越沖地震の地震動はどの程度であったか」です。

▲中越沖地震の概要です。
○ 発生時刻:2007年(平成19年)7月16日午前10:13頃
○ 震源地:北緯37度33.4分、東経138℃36.5分 (KKから北北東方向に約16㎞ほどの海域深さ17㎞)
○ マグニチュード:6.8(地震の規模としては中程度)
○ 震度:6強 柏崎市、刈羽村

中越沖地震とはいうものの、震源地の位置からすれば、柏崎刈羽沖地震なのです。
げんに、地震直後には「柏崎刈羽沖地震」という命名も候補だったのだけれど原発と直結した命名は“原発への地震の影響をもろに想起させる不都合”のために「中越沖地震」と命名されたようだなどと言う話もありました。

中越沖地震は決して大地震ではありません。中程度の地震なのですが、原発も含めて、柏崎市、刈羽村の被害は甚大でした。地震規模に比して揺れが大きかった、強かったのです。

▲KK 原子炉建屋最地下階の①観測記録です。( )は②設計時の最大加速度応答、< >は①は②の何倍であったかを示しています。

1号機 南北311(274)<1.14> 東西680(273)<2.49> 上下408(235)<1.74>
2号機 南北304(167)<1.82> 東西606(167)<3.63> 上下282(235)<1.20>
3号機 南北308(192)<1.60> 東西384(193)<1.99> 上下311(235)<1.32>
4号機 南北310(193)<1.61> 東西492(194)<2.54> 上下337(235)<1.43>
5号機 南北277(249)<1.11> 東西442(254)<1.74> 上下205(235)<0.87> 
6号機 南北271(263)<1.03> 東西322(263)<1.22> 上下488(235)<2.08>
7号機 南北267(263)<1.02> 東西356(263)<1.35> 上下355(235)<1.51>
 
* 単位:ガル(地震による地盤や建物などの揺れの大きさを表す加速度の単位(cm/秒²)で建物等にどの程度の力が加わるかを示しています)

* 設計時の最大加速度応答:原発を建設する際には、今後起きる最大規模の地震を想定してそれに耐えうるように設計します。KKのように複数ユニットがある場合は、全基に共通の「解放基盤表面」という地下の岩盤上に表層や構造物がないものとして設定した仮想的な岩盤表面で想定した地震の加速度「基準地震動」を策定し、基準地震動がそれぞれの建屋最地下階でどのくらいの加速度になるかを計算して出します。上記の( )はその最大値です。

5号機の上下方向をのぞいて、すべて設計時最大加速度を超えています。
南北、東西でみると、2~4号機の加速度が設計時に比して大きかったことがわかります。7基では6,7号機が倍率は低いのですが、6号機の上下方向は突出しています。

こうしてみると、東電が7、1、6、5号機の順で点検を進め再稼働し、2~4号機は未だ点検中という理由がみえてきます。

全ての号機で設計時最大加速度を超えたのは、想定があまかったのか、間違っていたのか、東電は説明しなければならない事態となったのです。

東電の説明は…

次回にします。今日はこの辺で!

(10月4日)







      

"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? その5

<“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ 
その5「再稼働するの? できるの?」第2楽章-1>

今日から「第2楽章 柏崎刈羽原発(KK)の現状(再稼働、できるの?)」です。

第2楽章の構成は

1 KK が際立って危険な理由とは
2 中越沖地震の地震動はどの程度であったか
3 中越沖地震はKKにどのような被害をもたらしたのか
4 中越沖地震後に再稼働した1,5,6,7号機の安全性は確保されているのか
5 3・11が明らかにした新たな危険

と5項目、端的に!を目指します。


1 KK が際立って危険な理由とは

① KKと1F(福島第一原発)を比べてみると
・ 基数と発電出力
   KK: 7基  821.2万kW 同一サイトでの発電出力としては世界最大です。
(1~5号機・110万kW 6,7号機・135.6万kW)
   1F: 6基  469.6万kW 
(1号機・46万kW 2~5号機・78.4万kW 6号機110万kW

・ 1Fでメルトダウンした1~3号機の発電出力は合計202.8万kWです。全基数の半分がメルトダウンしたことを単純にKKにあてはめてみると、410.6万kW(821.2÷2)を発電する燃料がメルトダウンすることになります。これは1Fの2倍にあたります。

基数・発電出力共に日本最大の原子力発電所であるKK は、1Fと同様に同時に複数基が深刻な事故を起こすと、どんな事故対応マニュアルが用意されていても、対処不能となる危険性があります。

ところで、東電はKKについて複数基同時事故発生時対応のマニュアルが用意されているのでしょうか? 東電に訊いてみます。

② KKは世界でも例をみない震災原発(地震で被災した原発)です。
「項目4 中越沖地震後に再稼働した1,5,6,7号機の安全性は確保されているのか」で詳細をお知らせしますが、地震がKKにどのような影響を与えたのか、実は全容はわかっていません。ということは、KKは一般的に原発が持っている危険に加えて、震災原発ならではの危険をはらんだ原発なのです。

超党派国会議員が作った「原発ゼロの会」が今年6月28日に発表した「原発危険度ランキング」で、KK7基全てが「即時廃炉にすべき24基」に入っています。理由は「中越沖地震による被災」となっています。

先日の(9月20日)柏崎市での説明会で、東電は、KKでは1Fの事故の教訓をいかした安全対策をするとして「津波とその事後進展から学んだ課題」を11項目あげて説明していました。その10項目目には「更なる安全性の向上の観点からの耐震性向上策の実施」4点(わずか!)があるのですが、変圧器、淡水タンク、送電鉄塔、復水補給水系配管等外付け設備の耐震強化が中心となっています。中越沖地震を踏まえた耐震強化を実施している、と付け加えていましたが、その内容についてはなんの説明もありませんでした。

③ 際立って危険な理由の最後は、KKは東電の原発だということです。

・ 1Fの事故は東電の経営がもたらした人災であることは明らかとなっています。
・ 事故原因について、津波に限定し、地震による影響について「重要な機器への影響はなかった」と否定し続けています。
・ 東電の情報公開は、TV会議映像の公開状態にみられるように、いまだ極めて不十分です。
・ 被害者への賠償は、とうてい誠意ある対応とは言えません。被害者の「泣き寝入り」を期待するがごとくのやりかたは、許せるものではありません。
・ 総合特別事業計画にもられた修繕費や機器更新等でのコスト削減で、KKの安全性が十分に保てるのか、疑問です。

徹底した安全性追及よりは経営を、被害者賠償よりは会社存続を、そんな電力会社に「原発動かしてもいいよ」と認めたら、いつかまた事故は繰り返されるでしょう。

東電という会社自体が事故を起こす要因を内在しているのです。

(10月1日)
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