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"KK・NOW" 再稼働 するの?できるの? No8

<“KK・NOW”柏崎刈羽原発の今シリーズ
「再稼働するの? できるの?」その7 第2楽章-3>

今日は 第2楽章―3 中越沖地震はKKにどのような被害をもたらしたのか です。

先回、解放基盤表面における中越沖地震による地震動が基準地震動と比べてどうであったか、について述べました。

2~7号機の設計の基準となっている旧耐震指針(1978年制定)では基準地震動がS1(300ガル)とS2(450ガル)の2種類があって、1号機東西方向の地震加速度はS2の3.78倍でした。

S2は、およそ現実的でないと考えられる限界的な地震動、と説明されていますが「限界的な地震動」について小岩昌宏氏(京都大学名誉教授)は次のように説明しています。

「万が一、そのような地震が起こったとしたら、原子炉を構成する部材・機器が変形してもやむを得ないが、原子炉が壊れて最悪の事故が起こることは回避しよう、として定められた基準であった」
(「科学 2012年9月号 巨大地震を経験した原発は健全か? 小岩昌宏」岩波書店)

つまり1号機はシビア・アクシデントはなんとか回避できるけれどこれ以上は無理、超えたらシビア・アクシデントしてしまうとして設定された地震動の3.78倍の加速度を受けたのです。

1号機だけではありません。5,6号機上下方向を除けば、すべてS2を超えた加速度を受けたのです。被害が甚大になるのは当然です。

被災の概要です。

○ 中越沖地震に係る“不適合”数
“不適合”とは“故障、トラブル”です。東電は“故障”を“不適合”と表しています。東電は“事故”は“事象”と言ってきましたが(保安院も同様)、規制委田中委員長は9月26日に3号機燃料プール鉄骨落下(9月22日発生)について「事故だ」と言明し、今後“事象”という表現を改める考えを示しています。東電は“イメージ”が悪い表現を避けています。

正しい日本語で言い換えましょう。

○ 中越沖地震による故障個所数(2010年4月30日時点)

1号機 695(1985年)
2号機 428(1990年)
3号機 483(1993年)
4号機 438(1994年)
5号機 473(1990年)
6号機 275(1996年)
7号機 246(1997年)
その他 733   合計 3771

( )は運転開始年です。

古い号機が故障数が多くなっています。

1~5号機の原子炉型はBWR、6,7号機はABWR(BWRの改良型)と、炉型構造の違いも影響しているかもしれません。

○建屋外部の被災

①前号炉原子炉及びタービン建屋の基礎が隆起(建屋がもりあがった!)

1号炉:58.9~66.3ミリ
2号炉:63.6~76.6ミリ
3号炉:81.6~89.2ミリ
4号炉:63.8~81.7ミリ
5号炉:101.0~118.0ミリ
6号炉:97.4~111.9ミリ
7号炉:77.3~101.7ミリ

②敷地内各所で地盤が沈降、隆起、液状化、ひび割れ。

③構内道路は随所で陥没。一時通行不可。1,2号機近傍で消火用配管5か所損傷。

④3号機所内変圧器火災。消火に2時間。(衝撃だった黒煙)

⑤1号サービス建屋で環境放射線監視データ伝送不能。

⑥事務建屋、扉のゆがみにより緊急時対策室に入室不可。消防とのホットライン使用不可。

⑦固体廃棄物貯蔵庫、廃棄物ドラム缶318本が破損。ふたがあいたり、へこんだり。

⑧開閉所、500キロボルト送電線停止。

⑨展望台、北側法面一部崩落。

⑩被雷鉄塔、破壊。

⑪クレーンレール、破損、湾曲。

⑫放水口、護岸沈下。

⑬北防波堤放水口より6号機使用済み燃料プールからの漏えい水流出、1.2トン、9万㏃。

○ 建屋内部の被災

① 原子炉圧力容器
・ 1号炉:原子炉プールからプール水があふれた(定期検査中で上ぶたが開放されていた)。
・ 5号炉:ジェットポンプのインレットミキサーにずれ。燃料集合体1体が跳び上がり、指示金具から脱落。再循環ポンプのコンスタントハンガー(防振器具)の指示値に異常。
・ 7号炉:制御棒8本のガイドローラー部にひび割れ。

② 主蒸気関連
・ 5号炉:主蒸気配管のスプリングハンガー(防振器具)の指示値に異常。
・ 7号炉:主蒸気逃し安全弁の開度計のロッドが折損。

③ 使用済み燃料プール
・ 1~3号炉:冷却水ポンプの停止によりプール水位低下
・ 4,7号炉:使用済み燃料貯蔵ラック上に水中作業台落下。
・ 全炉:スロッシングによりプール水があふれでた。6号炉では電線ケーブルを通って海に流出。

④ 主排気筒
・ 1~5号炉:ダクトつなぎ目にずれ。
・ 7号炉:ヨウ素、コバルト、クロム合計4億㏃が大気中にじしんご3日間流出。(原子炉自動停止後の操作手順ミスでタービングランド蒸気排風機の停止操作が遅れたため、復水器内にたまっていた放射性物質がタービングランド蒸気排風機に吸引されて排気筒から放出されたと推定されている)

⑤ その他
・ 7号炉非常用ディーゼル発電機の基礎部コンクリートにひび割れ。
・ 1号炉原子炉建屋外側の消火用配管が破断、建屋地下に2000トンの水が土砂とともに流入。
・ 3号炉のホウ酸水注入系配管の保温材が大きく変形し破損。
・ 3号炉の原子炉建屋ブローアウトパネル脱落。
・ 4号炉の中央制御室内の中性子モニターおよび制御棒監視装置の制御盤の電源異常。

⑥ タービン建屋関連
・ 全号炉のタービンで、車室や翼に接触ないし摩耗痕。
・ 7号炉:多数のタービン翼根元が破損。蒸気タービン軸受台基礎部コンクリートにひび割れ。復水器基礎部にひび割れ。
・ 4号炉:海水引き込み配管が破裂し、海水24トンが管理区域内に流入。
・ 2,3号炉:ブローアウトパネル脱落。


上記の被災の多くが、福島原発事故で明らかになったように地震への備えを怠っていた東電が自ら招いた被災だったと言えます。例えば、使用済み燃料プールのスロッシングは、地震発生時に起きることは容易に推察でき、どの規模の地震でどの程度のスロッシングが発生するのかもコンピュータで予測でき、その対策も決して困難ではありません。対策を省けば被害が大きくなるのは当然です。スロッシング対策を省略していた東電は、海に放射能を流したのです。

主排気筒から3日間も放射性物質が流れ続けたことは明らかな人災です。福島事故のように住民避難につながるものではなかったのですが、だからといって、そのようなミスが一片の説明で終わってしまい、なんの責任追及もなくていいのでしょうか?4億㏃の放射性物質が周辺の環境や人体に何の影響も与えなかったと言い切れるのでしょうか?

発電所が気付かなかったのですから、もちろん周辺住民はそんなことが起きているとは思ってもみませんでした。私はちょうど放出中に5号機から3キロほどに住む姉を訪れていたのですが、後日放出が明らかにされた時姉は「ごめんねー。あんたを被ばくさせてしまった」と電話をかけてきました。

自分がしたことでは全くないのに「ごめんねー」という姉の思いを東電幹部はどう思うでしょうか?「被ばく?何をバカな」と笑うのでしょうか?

姉は「すべての原発を廃炉に!刈羽村生命(いのち)を守る女性の会」のメンバーとして地震前から毎春桜の花の調査を続けていました。桜は環境の変化に敏感で、排気ガス等にも反応し花に異常が見られたりすることから、原発稼働で環境に流される放射能の影響を桜の花の異常率で調べる運動が全国的に展開されていて、姉の会も取り組んでいたのです。

調査対象は刈羽村内公園の桜です。公園は排気筒から流される放射性物質が風にのり、遮るものがない平野を超えて長岡市との境の山々にぶつかる地点にあります。公園からは7基全ての排気筒が見えます。

異常花の典型はおしべの花弁化です。他に花弁が少ないもの、切れ込みが深くはいっているもの、花弁が異常に不揃いなもの等です。花を一つ一つ調べる辛苦な作業です。

地震の翌年2008年の桜の花の異常率は例年の7~8倍でした。桜の花芽は7月頃につくのだそうで、中越沖地震が起きた頃はちょうど一番細胞分裂が盛んなころだそうです。

例年の7~8倍の異常花が7号機主排気筒から流れでた放射性物質に由来するのかどうかは、さらに丹念な調査がないと分からないのだろうと思います。その調査は姉たちの会が背負いきれるものではありません。原発で利益を上げることだけが”正義“の東電が取り組むはずがありません。「原子炉からの放射性物質は何回もフィルターでろ過して十分線量を低く抑えて放出するから大丈夫」「排気筒は十分高くしてあり(1~5号機は150mほど、6,7号機は75mほど)放出された放射性物質は上空で拡散するから大丈夫」と言い続けている保安院が調査をするわけがありません。

放射線量が低ければ大丈夫→低線量被ばくの過小評価、放射性物質は拡散すれば大丈夫→閉じ込めきれない放射性物質をごまかすための拡散主義、この2つが原発周辺の環境・住民を脅かし続け、福島事故では住民に無謀・無用な被ばくを強い、今また災害放射性廃棄物の広域処理という政策の強行で全国各地の環境・住民たちに被ばくを強要しています。

(10月11日)
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