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第3回 事故検証新潟県技術委員会報告

10月30日開催・第3回事故検証県技術委員会を傍聴しました。

今回のテーマは「政府事故調報告書について」。

政府事故調査委員会はすでに解散していますが、
委員長だった畑村洋太郎さんと委員だった淵上正朗さんが、報告書について説明し、
そのあと技術委・委員との質疑応答がありました。

●傍聴の感想です。

① 事故原因については、国会事故調が指摘した地震によるSB-LOCA(小破口冷却材喪失事故:配管の小さな損傷から冷却材がもれ燃料損傷に至る事故)等については一切言及なく、津波による配電盤水没がすべて、と説明。それぞれの結論が異なっていることについて、技術委員会はどのように考えるのか、評価次第で柏崎刈羽原発の安全性評価が変わってくる。技術委員会として事故原因をどう見るかを県民に示さなければならない。

② 畑村氏、淵上氏とも完璧な防災を求めるのではなく、被害を最小に食い止めるための対策を追及するとした「減災」の概念を強調。福島の実態から、放射能汚染という特質をもつ原発事故は、あってはならない、起きたら取り返しがつかない事故であるのは明らかだ。被害=放射能汚染であるかぎり、被害を最小にとどめられればよしとする発想を原発事故にあてはめるべきではない。減災ではなく、事故を断つ「断災」が必要であり、「断災」は原発を止めることにほかならない。

③ 最終報告(今年7月23日に発表)の「委員長所感」には、失敗学の権威畑村氏の事故を通して浮かび上がった「人間観(人とはどうであるか、それゆえ、事故を未然に防ぐにはどうすべきか)」がのべられており、そのぶん社会構造や東電の企業体質への切り込みが不足している。事故は、否定しがたい人間の傾向が積み重なって起きたのかもしれないが、それを防ぐシステムを国や東電は用意したのか・しなかったのか、国や東電のシステムはどうであったか、原発推進システムがどのように機能して事故となったのか、システムは事故に対応できたのか等の検証は欠かせない。

④「100万分の一の確率でも対策すべきか?少数意見への対応はどうするか?」の質問がでた。いずれも科学技術に付きまとう基礎的なことがらであり、30年以上もこれらの問題を抱えながらやってきた専門家の質問としては“初歩的”すぎる。おそらく質問者は「低い確率は対策の必要なし・少数意見は対応せずともよい」と考え対応してきたのだろう。事故後、そのようなやり方に対する批判の言説が増え、それに抗すべく畑村氏の見解を訊いたのではないかと思われる。少数意見に対する畑村氏の回答は納得できる。

⑤山崎委員(地震小委・委員長でもある)の質問「答が出ないとき結論はどうするか」を聞いて朝日新聞「プロメテウスの罠」(10月19~20日)に載っていた彼の見解を思い出した。

山崎氏が主査だった原子力安全委員会WG(作業部会)で、六ヶ所村の下をとおる全長約100キロの断層が問題になり意見が分かれた時、山崎氏は「多くの委員が活断層でないということで了解した。異論はあったが強い根拠があるわけではない」と結論づけた。「95%活断層に間違いはない」と主張する池田東大准教授のことばに、記者は山崎氏を取材、「池田説をもっと尊重する余地はなかったのか」の記者の質問に山崎氏は次のように応えている。

「活断層だと認めれば、六ヶ所村再処理工場も隣の東通原発も補強が必要になり稼働できなくなる。原発は必要だ。(結論が)わからない時、最後は原子力に対する価値観で決まる」

結論がでなければ出なかったと報告すべきではないか?との質問には

「それは建前。原発行政について政治は判断を逃げ、我々に責任を押し付けてくる。そんな判断をしたくないが、そういう社会の仕組みになっている」

記者に山崎氏は「事故の前と後では戦前と戦後くらい世論が変わってしまった」とも言ったという。

上記④の質問者と同様、これまでのあり方にNOを突き付けられている専門家は、先の暗い穴ぼこからぬけだせないでいるようだ。

⑥ 県から今後の検証の整理について案がだされたが、これは検証開始前にやるべきことである。技術委は検証の方向性を議論しないまま、すでに3種類の検証報告を受けてしまっている。


●議論の概略を報告します。

第3回事故検証技術委員会
10月30日 13:30~16:10 会場:新潟県自治会館 講堂
出席:委員8人(8人欠席) 説明者 畑村洋太郎氏 淵上正朗氏
 *北村委員が健康上の理由から9月に退任、委員は16人となりました。
資料http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1351544498583.html

1 飯沼防災局長挨拶
   立地県の目線で検証をお願いしたい。

2 原子力安全対策課・須貝課長から
・ 北村委員から9月に「体調不良により退任したい」旨申しであり、受けた。設備小委・委員長は岡崎氏。
・ 政府事故調はすでに解散しているので、今日の2人の発言は公式の立場としてではない。
・ 検証の整理については、「法・制度上、技術的、マネジメント上の課題」の3項目で課題をまとめることを考えている。この観点での議論をお願いしたい。

3 畑村氏説明(資料で強調した部分)
事故はどんなものだったか
・ 津波による配電盤水没が原因の全てと考えるのが実態だ。
・ 現場力がなかったら、ひどいことになっていた。
・ 事故の本質(最大の事柄)は周辺住民が強制的に住んでいるところから引き離されたことだ。
事故の全体像
不具合を起こした真の原因
・ 外的要因(津波)を想定しなかったことに尽きる。
最終報告の総括と提言
委員長所感で述べた項目
・ ありうることは起こる、ありえないと思うことも起こる
・ 見たくないものは見えない、見たいものが見える
・ 全ては変わる。変化に柔軟に対応する
・ 可能なかぎりの想定と十分な準備をする
・ 形を作っただけでは機能しない 仕組みは作れるが目的は共有されない
・ 危険の存在をみとめ、危険に正対して議論できる文化を作る

4 淵上氏報告
事故原因のポイント
・ 全電源喪失(1~4号機):非常用DGは生き残ったが、電源盤が浸水した
・ IC隔離弁フェールセーフ機能による停止認識できず(1号機)
・ 注水作業での苦労と失敗(1~3号機)
・ SR弁操作(2,3号機)、ベント操作(1~3号機)の手間取り
事故のネックは配電盤である。
2号機3月15日6:00にSC(圧力抑制室)の圧力がゼロに落ちているのは圧力計の故障によるものと考えられる。
徹底的な安全対策までいかずとも、手はあるのではないか。どこまで考えるのか費用対効果でいく考え方もある。いっさい考えなかったことがよくなかった。起こると考えてねばり強く準備することが必要。絶対ではなく何を目指すか減災の考え方が必要。

5 質疑応答
(吉川)*SPEEDI開発の経緯を15分近く説明、途中二度座長、「手短に」と指摘
ERSS(緊急時対策支援システム:SPEEDIに放射性物質放出情報等を送信する)については、複数基同時に把握するシステムを考えるべき。
仏、米のようにsafety engineer のシステムを考えるべき。
日本のSA(シビア・アクシデント)対応は世界から遅れている。

(畑村)
うまく行くやり方では、同じことを繰り返す。機能しなくても正しい対応はどうしたらいいかを考えることが必要。放出データがなくてもSPEEDIは使えた。社会が求めていることを考えることが必要。事が起きたとき、経験知ではなく、正しい対応ができる人を配置する必要がある。

(衣笠)*欠席のため事務局が質問説明
100万年に1回の確立でも対策すべきか?少数意見にも対応すべきか?

(畑村)
全体像をとらえるにはPSA(確率論的安全評価)は有効。確立が低いことの裏には「考えなくてよい」という危うさがある。どこまで気づいて計算したかをみるべき。気づかないことはたくさんある。気づかないことで災害は起きるとしたら、起きても被害を最小にする考え方で何を対策するかという減災の考え方を原子力に入れる必要がある。少数意見には真実もあり、そうでないものもあり、一つずつ個別に考えるしかない。さまざまに違うところで知見が増えていき、全体で進歩していく。少数意見は真実に近づく一歩かもしれない。謙虚に柔軟に考えるべきと思う。

(梶本)
PSA については同感。SPEEDI は情報源がないまま間違ったデータが出ることにもなる。役立つ情報だと考えるべきということでいいのか?

(畑村)
住民サイドからみれば、使い方はあった。福島の人は怒っている。情報を出さなくてよかったのかという問題が出てくる。作った人と実際の場面との関係は、難しい問題だ。

(淵上)
天気予報はあったろう、情報がなかったからダメだったというのはおかしいじゃないかという主張はした。

(香山)
科学技術と社会科学との融合を考えて議論はあったか?

(畑村)
社会に当てはめると問題はたくさん出てくる。議論はいろいろあった。

(香山)
報告書は全体像を示していると思う。飛躍がなくて読みやすい。SPEEDIでも議論できたらよかった。

(畑村)
これが精一杯。議論はいやになるくらいやった。

(鈴木元)
仮に同じことが起きたら、SPEEDIは公開すべきか?

(畑村)
すべきと思う。

(立崎)
配電盤等の多重性(同一機能・同一性質の系統又は機器が2つ以上あること)、多様性(同一機能・異なる性質の系統または機器が2つ以上あること)は何も津波で考えずとも、火災等でも考えうる。多重性、多様性での問題は他にどのようなことがあるか?

(畑村)
考え落としがある。まずくいくことも半分入れて考えることが必要。準備できずにまずかったことはたくさんある。作業員の線量計不足については「なければ作業しないのが当たり前だ」と海外で酷評だ。線量計は届いたが、使えなかったという信じられないことが起きた。
(淵上)
多重性、多様性は機能しなかった。地震のみを考えた多重性、多様性だった。幅を広げて考えるべき。配管がCクラスになっているのが気になっている。

(山崎)
答が出ないときの結論をどうするか?

(畑村)
過去に起きたことは起こる。記憶に繰り返しが残っていないと、ないことになってしまう。津波、洪水、噴火、大火災、起こると考えるしかない。完全な対応でなく減災の考え方で可能な対応をみんなで議論できることが重要。仏では、日本は議論しないからきっと事故は起きると思っていたという。議論を徹底すれば、対応もできてくる。

(香山)
日本も議論はやっている。社会科学的な部分は少ないが、欧米がいいというのはまちがっている。

(鈴木元)
9.11の教訓はなにか?TMI(スリーマイル島)、チェルノブイリ、福島と経て原子力の安全技術は成熟か否か?

(畑村)
ウエイトを1点に集中すると、他をみなくなる。KKで火災が消せなかった。地下の配管が損傷することを作った人は考えなかった。普通の設計基準でやると、致命的になるという発想が必要。KKでクレーンの継手が壊れた。事故が起きたらという発想ができていない。原子力は学んでいない。9.11は情報提供を受けながら日本には関係ないと伝えなかった。取り込もうとしなかった。

(立石)
提言をどう生かすか、電力会社、国、規制委にもない。安全神話は根強く残っている。

(畑村)国民全体で受け止めて考えていくべき。これだけ大きな災害なのだから、みんなが考えることが必要。自分で考えて行動すべき。安全神話はひそかに続くだろう。それまでの考え方を引きずってしまう。考え方を変えて危険神話を作るべきかもしれない。

* 16:00で畑村氏、淵上氏退席

(立石)
検証の整理項目は技術に偏っている。安全文化、被災者の視点からどうとらえるか、その視点が必要であり、議論としても不足しているのではないか。

(須貝)
取り入れて検討したい。

(梶本)
10月25日規制委の会合で「重大事故(=SA)の要件は許認可条件となった。今後検討・議論が進んでいく。新潟県として特性を把握して、防災計画を中心にSA対策を進めるべきである。

(吉川)
いつまで検証していくのか、技術委の方向性が見えない。

(鈴木座長)
県と相談しながらやっていく。次回は東電から報告してもらう。4つの報告を受けて福島の視察も実施して、年度内に報告を出したい。

(香山)
県の検証の整理案は科学技術論に偏っている。社会科学と融合した議論が必要だ。いい構成でやってもらいたい。

(須貝)
整理案はハード面にとなっているむきもあり、ソフト面についても考えていきたい。意見をいただきたい。


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