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技術委員会・事故検証のゆくえ(第6回技術委報告)

おくればせながら、第6回福島事故検証・県技術委員会(2月19日 会場・朱鷺メッセ中会議室301)の報告をいたします。

昨年7月~12月、4回にわたって、民間、国会、政府、東電の事故報告書について委員会が開かれ、先回第5回(2月1日)には検証の柱立て(検証項目)が10項目提案されました。

今回は、民間、国会、政府、東電の事故報告書について担当者の説明を聞き若干の質疑や意見があった第1回~第4回をもとに、

「福島第一原子力発電所事故を踏まえた課題 ~平成24年度の議論の整理~(案)」

が提案されました。

少々長くなりますが、その内容について要旨をお伝えします。
なお、詳細は県HP:http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/398/44/130219_H24-6-1.pdf
をご覧ください。

*「福島第一原子力発電所事故を踏まえた課題 ~平成24年度の議論の整理~ 」の要旨

1 シビアアクシデント対策
(技術面)
・ 確実に原子炉を冷却するために設備の多様性が必要
・ いかなる事態でもパラメータ(温度や圧力等)を計測できること
・ 非常用・安全設備の操作が多様な手段で実施できるよう改良が必要
(マネジメント面)
・ 手順書の整備と訓練が必要
・ 要員、専門家の育成が必要
・ 計器使用不可の場合でも原子炉の状況把握ができる手段の検討が必要
・ プラント状況の把握ができないときの迅速な減圧・注水の判断のあり方
(制度面)
・ 事業者だけにまかせない

2 地震対策
(技術面)
・ 免震重要棟について、要員の長期対応に必要な居住性にも配慮し、地震以外の自然災害にも対応できる施設とすること
・ 送電、変電網を含むB,Cクラスの設備の見直しが必要
(マネジメント面)
・ 後方支援を含めた運用方法を確立すべき
・ 継続的な改善が必要
(制度面)
・ 免震重要棟を重要度分類に位置づけるべき
・ 残余のリスクにどう対応すべきか検討すべき

3 津波対策
(技術面)
・ 機能喪失しない配置をし、津波以外も考慮すべき
・ PSA(確率論的安全評価)を改善し、機能評価をすべき
・ 過去の津波から、襲来しうる津波を評価すべき
(マネジメント面)
・ 浸水経路を特定し、設備への影響を把握すべき
・ 代替設備を用意し、規格統一により汎用性を向上させるべき
・ 津波警報時の屋外活動態勢を構築すべき
(制度面)
・ 想定津波高さに対する裕度の考え方を整理すべき
・ 津波対策施設も重要度分類の基準を設けるべき

4 新たに判明したリスク
(技術面)
・ 不測の事態でも、プール水位の維持設備、水位把握設備を設けるべき
・ 隣接号機事故においても、必要な作業の妨げとならないような対策が必要
・ サイト外への汚染水等の大量流出防止策が必要
(マネジメント面)
・ 使用済み燃料を大量に高所に置かない運用を検討すべき
・ 複数号機同時事故発生においても、対応できる体制を構築すべき
(制度面)
・ 判明したリスクに対応する安全基準を設けるべき

5 放射線監視設備、SPEEDIシステム等の在り方
(技術面)
・ どのような状況下でも、監視可能な設備となるよう改善を図るべき
・ 複数原子炉の故障を考慮したシステムとすべき
・ オフサイトセンターは、複合災害、シビアアクシデントを考慮した施設とすべき
(マネジメント面)
・ どのような状況下でも、監視可能な体制を構築すべき
・ SPEEDIとERSSの一貫した運用と、計算結果公表のあり方を検討すべき
・ 事故は起こりうるという危機意識で対応すべき
(制度面)
・ 監視のあり方について検討すべき
・ 原子力災害対策上の位置付けを明確にすること
・ オフサイトセンターのあり方について検討すべき

6 発電所内の事故対応(主に現場対応)
(技術面)
・ 電源喪失時のインターロックなど、システムの再整理が必要
・ 非常用・安全設備の操作が電源喪失時にも可能なよう、設備改良が必要
(マネジメント面)
・ 手順書の整備、現場対応を含めた訓練が必要

7 過酷な環境下での現場対応
(技術面)
・ 放射能漏洩時にも制御、事故対応が可能な施設改善
・ 遠隔操作による状況確認、作業ができる機材が必要
・ がれき除去等の重機設備は必要
(マネジメント面)
・ 高線量下作業のための装備、手順を整えること
・ 協力企業のみでなく、事業者直営で対応できる体制が必要
・ 外部要因事象対応の訓練が必要
(制度面)
・ 被ばく限度と限度超の場合の作業のあり方を検討すべき
・ 重要設備へのアクセスルートの確保を国が確認すべき
・ シビアアクシデント対応態勢を国として整備すべき
・ 欧米に整備されている、事故対応の指導・助言にあたるセーフティエンジニアなどの制度を検討すべき

8 原子力災害時の情報伝達、情報発信
(技術面)
・ 通信網の支障が発生しないよう、確実な情報伝達手段の構築が必要
・ 自然災害時にも、確実に情報伝達する手段が必要
(マネジメント面)
・ 政府、関係機関が伝えたいことが、国民、報道機関に正しく伝えられるようにすべき
・ 極力迅速な情報発信に努めるべき
・ 防護対応基準は国民が納得できる明確な基準とすべき
・ 複合災害を想定した訓練が必要
・ 放射線や原子力災害に対する基礎的知識の普及啓発が必要
・ 受けて側のニーズを正しく把握すべき
(制度面)
・ 情報発信の一元的な態勢や方法、発信内容をあらかじめ定めておくべき
・ 避難指示決定の方法やタイミング等を具体的に定め制度化すべき

9 原子力災害時の重大事項の意思決定
(マネジメント面)
・ 重大事項決定について、経営の配慮等により遅れが生じないよう、誰がどう対応すべきかを検討すべき
・ 政府の危機管理があいまいで、現実直視を欠き、適切な判断がなされなかった
・ 操作の前提となる事項(住民避難の確認等)の対応について整備すべき
・ 住民被ばくにつながる操作の判断手続きを整備すべき
・ 事故当初、優先すべき作業、操作について整理すべき
(制度面)
・ 廃炉につながる判断を躊躇なくできるよう、廃炉に関する保険制度などを整備すべき
・ 情報伝達の仕組みを含めた危機管理体制のあり方を検証すべき

10 原子力安全の取り組みや考え方
(マネジメント面)
・ 大局的な視点で対策を組み立てることが必要
・ 世界動向を注視し、積極的に規制に取り込んでいくべき
・ 事業者の安全向上の努力が継続するような仕組みの構築が必要
・ 経営者は現場の安全第一で取り組む姿勢を重視すべき
・ 原発の安全については、世界の安全保障につながる大きな問題と捉えて対応すべき
・ さまざまな分野・産業の知見、考え方を積極的に取り込む姿勢が重要
(制度面)
・規制の技術レベルを向上させる仕組みが必要


* 上記「課題(案)」についての議論のポイントです。

○「残余のリスク」について
国の安全指針では「地震や津波についてルールにのっとって想定しても想定しきれないリスクが残る」として、それを「残余のリスク」とよび、事業者は「残余のリスク」を十分に考慮して安全対策をするよう、求めています。

今回の技術委員会では、「残余のリスク」の概念や具体的な対応について、委員のあいだで意見が分かれました。

(鈴木委員)検討すべき「残余のリスク」の具体的な例を示してもらいたい。

(衣笠委員)示せるなら、指針で明らかにされているはずだ。十分余裕を持って設計するべきだ。

(香山委員)技術論以上のことが「残余のリスク」という表現になっている。技術論でできることを明確にして、できないことを意識することがだいじだ。

最高の知見を持って対策しても、「ここまで、おいで」とばかりにどうしても消せない「残余のリスク」をどうとらえ、どう対応するのか、また対応可能なのか。これは「原発の安全」を考えるときに欠かせない重要なポイントだと思います。

別な見方をすれば、「絶対安全」でなければならない原発に「絶対安全」がない矛盾を、「残余のリスク」という概念で“逃げた”ともいえます。そうであれば、「残余のリスク」の議論は原発の存廃に係わるものだと思います。

○避難指示やオフサイトセンター等について
事故検証のなかで私たちが一番関心が高い上記項目について、以下の意見がでましたが、議論は十分なされてはいません。

(立石委員)住民の立場からすると、避難指示は重要問題だ。オフサイトセンターについてもっと踏み込んだ指摘があってもいいのではないか。県としてもどう盛り込むか検討すべきだ。

(山内委員)避難指示は基礎自治体長が出すべきだ。シビアアクシデント発生を前提とした対策がなかったことが問題だ。認識の転換が必要であり、立石委員の問題提起について即刻取り組むべきだ。

(鈴木委員)SPEEDIやシュミレーションマップをどう使うか見えてこない。どこにどう提言するかは大事な視点だと思う。

(梶本委員)SPEEDIについては意見が分かれている。IAEA基準にのってEAL等を決めていくことになった。拡散シュミレーションだけで防災計画は作れない。オフサイトも含めて、何を期待するのか、技術委員会で検討すべきだ。

(香山委員)抽象論ではなく、具体論が必要。安全意識をどれだけ修正できるか、何が不足かを具体的に判断すべきだ。何をやるべきかを明確にしてプラスの意見をだすことが大事だ。

(野中委員)どのレベルのリスクに焦点をあてるのかが重要だ。100%の安全はないのだから、実践的にベターに向けてあらゆるレベルで判断力がある人材をそろえることが重要だ。復元力がある地域を作ることが大事であり、焦点は地域のリスクマネジメントだ。

*私の感想・意見
①「課題(案)」は「事業者だけにまかせない」「大局的な視点で対策を組み立てることが必要」等、具体性を欠けているものが何点かあります。議論を継続して、具体的な内容を明らかにするべきです。

②鈴木座長は「現段階でまとめられる提言をまとめ、残る論点は継続審議していく」としていますが、何が論点か、明確になっていません。何が合意でき、何が論点として残るのかを整理する議事運営が必要だと思います。また、論点が見えてこないのは、議論が深められていない結果だと思います。

③検証項目の数(10項目)からしても、「課題(案)」をまとめるには、かなりの時間が必要だと思います。しかし、委員からその指摘はなく、今月末までにどのようにまとめあげていくのか懸念があります。先を急がず、委員間で十分に議論を深めて、それなりに納得できる「課題」を示してもらいたいと思います。
 (2013年3月5日)
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結局、

PSA(確率論的安全評価)というのは、ねずみ講なんだけれど、有識者と称される人たちが、本気で信じ込んでいる、もしくは、騙されている可能性が排除できないというのは、なんと言えばいいのだろう。
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