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第19回学習交流会“福島とともにシリーズ No2”の報告

第19回学習交流会“福島とともにシリーズ No2”の報告です。
日時 9月15日(日)13:30~16:00
会場 クロスパルにいがた 401講座室
参加 46人
テーマ 「子ども・被災者支援法」基本方針案は“安心”につながるのか?
講師 阪上 武さん(福島老朽原発を考える会<フクロウの会>)
   満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan)

13:30 開会
13:40~14:40 「子ども・被災者支援法」基本方針案について(満田夏花さん)
14:40~15:30 避難者の皆さんからの発言、話し合い
15:30~15:40 休憩
15:40~15:55 東電汚染水問題と柏崎刈羽原発(阪上 武さん)
15:55~16:10 質疑応答

*満田夏花さんの説明、避難者の皆さんからの発言、話し合い をもとに、「子ども・被災者支援法」と基本方針案についてお知らせします。
(1)「子ども・被災者支援法」?
法律の正式名は「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」と長いのですが、法律の骨子を伝えています。

昨年6月21日に全会一致で成立しました。

(2)なんで「子ども・被災者支援法」がつくられたの?<法律の目的は?>
第1条で説明しています。
・福島第一原発事故で放射性物質が流れだし、広い地域を汚染している。
・放射線が健康に及ぼす影響は科学的に十分に解明されていない。
・一定の基準以上の放射線量が計測される地域の人々や政府の避難指示地域の人々等が健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられていて、支援が必要となっている。
・とりわけ子どもへの配慮が必要である。
・被災者の生活を守り支えるための施策を進め、被災者の不安の解消、安定した生活の実現を図る。

*第1条では、被災者がつぎのように規定されています。
被災者とは:一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、または居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者及びこれらの者に準ずる者
       
この法律は、避難指示地域の避難者、それ以外の事故以前より高線量となった地域の住民・自主避難者の生活を守り支えるための施策を実現するために作られたのです。

(2)「子ども・被災者支援法」の内容で重要なポイントは?
①被災者一人ひとりが「居住する」「避難する」「帰還する」の選択を行うことができるように、いずれの選択でも支援する。(第2条2項)

②子ども、妊婦に対して特別の配慮をしなければならない。(第2条5項)

③支援が必要な間は確実に支援する。(第2条6項)

④国は原子力災害から国民の生命、身体、財産を保護する責任と、原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任があり、被災者生活支援施策を策定し実施する責務がある。(第3条)

⑤基本方針を策定するとき、被災者の意見を反映させる措置をする。(第5条3項、第14条)

⑥一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住した子どもは、生涯にわたって健康診断が実施されるよう必要な措置をする。(第13条2項)

⑦子ども、妊婦の医療(事故による被ばくに起因しないものは除く)費の負担を減免する施策をする。(第13条3項)

(4)基本方針案とは?
「子ども・被災者支援法」は、理念等を規定した“プログラム法”で、具体的な施策や計画は「基本方針」にもることになっています。
政府は昨年6月に成立以来1年以上も基本方針案を示さずにいました。

その間、今年6月には「支援法」担当の水野靖久復興庁参事官の暴言ツイートが発覚、8月半ばには基本方針案を出さない政府の怠慢を被災者が提訴しました。復興庁はそのおよそ2週間後の8月30日に基本方針案を発表しました。

(5)基本方針案は「支援法」の目的や理念を実現するものになっているの?
答えはNo! とりわけ次の点で、まったくと言っていいほど、目的や理念はいかされていません。

① 「基本方針を策定するとき、被災者の意見を反映させる措置(第5条3項、第14条)」は、なされ
ていません。
・復興庁は策定段階で公聴会を開催していません。
・市民団体主催の集会に40回以上出席した、各団体からの要請書を受け取った、と復興庁は言い訳をしていますが、これでは「被災者の意見を反映させる措置をした」とはとうてい言えません。

② 第8条で、支援対象地域を「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示がおこなわれる
べき基準を下回っているが、一定の基準以上である地域」と規定しながら、「一定の基準」を示さずに、
支援が必要とされている地域を、支援対象地域と準支援対象地域の2段構えにしました。

・「年間積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある地域と連続しながら、20ミリシーベルトを下回るが相当な線量が広がっていた地域においては、居住者等に特に強い健康不安が生じた。地域の社会的・経済的一体性等もふまえ、当該地域では、支援施策を網羅的に行うべき」として、支援対象地域を福島県中通りと浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)と、実際の放射線量を考慮せずにきわめて限定的に定めています。
・また、第1条で被災者を「一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、または居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者及びこれらの者に準ずる者」と定義したことから、支援対象地域(福島県中通りと浜通りの市町村(避難指示区域等を除く))以外の住民を「準ずる者」として、施策ごとに支援対象地域より広範囲の地域を準支援対象地域に定めています。この結果、放射線量に係らず福島県中通りと浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)以外の地域は断片的な支援しか受けられないことになっています。

支援が必要とされている地域を、支援対象地域と準支援対象地域の2段構えにしたことは、政府自らが
憲法第25条 [生存権と国の責務] 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の保障
憲法第13条 [個人の尊重・幸福追求権] 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、立法その他国政上最大の尊重を必要とする。
を、ないがしろにしていると言えます。また、
社会権規約(日本が1979年に国会承認した国際規約)第12条 身体及び精神の健康を享受する権利
も、あってなきがごとくにされています。

環境省は、一般人の線量限度として定められている1ミリシーベルトをもとに、それ以上の放射線量が計測される地域を除染対象地域に指定しています。除染が必要とされる地域はまさに「人々が健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられていて、支援が必要となっている」地域です。除染対象地域と支援対象地域にくい違いがないようにすること、対象地域内で支援内容の差がないようにすることは、行政の公平性からも当然のことです。

一般人の線量限度として定められている1ミリシーベルトは、Tolerable(進んで受け入れることはできないががまんできる)レベルの上限値です。原発事故によりこの上限値をうわまわる線量が計測される、あるいは予想される地域を、支援対象地域とするのは当然です。
復興庁は、支援対象地域指定に関して有識者の意見を聞いたと言いますが、有識者の名簿は公開されていません。関係省庁との協議の議事録も作られていません。どのような議論をもとに支援対象地域が決定されたのか、復興庁は説明責任をはたさねばなりません。

③ 避難者が切実に求めている住宅支援は、次のわずか3点に過ぎません。
1 公的な賃貸住宅(子育て定住支援賃貸住宅)の整備を支援
2 民間賃貸住宅等を活用し応急仮設住宅の供与期間を2015年3月末まで延長
3 支援対象地域に居住していた避難者の公営住宅への入居の円滑化を支援

3点とも、支援というにはあまりにお粗末です。
1については、整備支援のみで避難者の入居が保障されているわけではありません。

2については、災害救助法に基づきすでに決定済みの支援に過ぎません。今回の学習交流会で避難者の皆さんから「住宅支援は避難生活の生命線、打ち切られたらたとえ放射線量が高くても帰らざるを得ない」「細切れの延長ではその先の生活設計ができず、将来が見通せない」「子どもがおおきくなっても住宅の借り換えは認められない。状況に応じて借り換えを認めてほしい」等の発言がありました。

3については、公営住宅の数は少なく、「入居の円滑化を支援」のなかみは入居要件を避難者向けに緩めるというもので、避難者が優先的に入居できるわけではありません。

さらにもう一つ問題があります。応急仮設住宅の新規受け付けはすでに打ち切られています。放射能の影響は長く続きます。こんな支援とも言えないようなお粗末な支援では、避難したくてもできないケースが今後続出するでしょう。避難者の帰還を進める政府の住宅支援は、実質避難をさせない方向の支援になっています。

④ 避難者の健康にかかわる支援は、まさに“かゆいところに手が届かない”内容です。
1 「医療の確保」として、被災地の医師、看護師等の確保、医療施設整備への支援等。
2 個人被ばく線量モニタリング運用ガイドラインの作成
3 福島県内子ども等に個人線量計による外部被ばく測定、ホールボディカウンターによる内部被ばく測定を実施
4 事故初期のヨウ素等による内部被ばく線量評価調査を継続実施
5 福島近隣県で新たに個人線量計による外部被ばく測定をモデル的に実施
6 避難指示解除準備区域等で外部被ばく測定等を一層推進
7 「福島県民健康管理調査」の継続実施(全県民の基本調査、事故時18歳以下の子どもの甲状腺検査)
8 福島県における甲状腺検査の理解促進を支援
9 新たな有識者会議で、事故後の健康管理の現状や課題を把握し、支援の在り方を検討
10 県民健康管理調査や個人線量把握の結果等をふまえて、医療に関する施策のあり方を検討
11 診断・医療技術の向上を支援
12 県民健康管理調査及び被ばく医療に係る人材育成の支援

1~12で被災者への直接な支援は、3,5,7、のみで、5が福島県外への新たな支援としてもりこまれました。しかし、5は外部被ばくへの対応のみで、福島県外では内部被ばく線量測定の支援はありません。高濃度汚染は福島県内に限られてはいません。県外にも多くのホットスポットがあり、山菜や、キノコの放射線量は高い状態が続いています。外部被ばく測定のみの支援は、片手落ちです。

⑤ 自主避難者、母子避難者への支援は、きわめてわずかです。
1 福島県中通り・浜通り(警戒区域等を除く)、宮城県丸森町からの母子避難者に対して、高速道路の無料措置を実施

直接にはこれだけです。就職支援があっても、幼い子供を抱えた母親が働ける環境づくりの支援は一切ありません。

⑥ 基本方針案の施策のほとんどがこれまでの施策の寄せ集めです。
全施策120の分類です。
87が、「被災者支援パッケージ」(今年3月15日に公表)と同様
7が、以前からある施策
26が、大半が除染と健康不安解消に係る施策

(2)の「子ども・被災者支援法」の内容で重要なポイントを実現し、自主避難者、母子避難者の生活を守り支える新たな施策は皆無と言えます。

第2条2項の「被災者一人ひとりが「居住する」「避難する」「帰還する」の選択を行うことができるように、いずれの選択でも支援する」という基本理念は、基本方針案では実現どころか、消えてしまっています。

*学習交流会では、復興庁に新潟での公聴会開催を参加者一同で要請しよう、県当局にも開催働きかけを要請しよう、と意見がまとまり、16日に復興庁に要請書を送信し、17日には県庁に出向き、知事(秘書課対応)と広域支援対策課に要請してきました。要請書は「第19回学習交流会報告2」をご覧ください。

*皆さんの力をかしてください。
「子ども・被災者支援法」には「被災者一人ひとりが「居住する」「避難する」「帰還する」の選択を行うことができるように、いずれの選択でも支援する。(第2条2項)」と、避難する権利=被ばくを避ける権利が宣言されています。しかしその権利は、具体的な施策に生かされていません。被災者が避難する権利=被ばくを避ける権利のもと、原発事故で奪われた生活やふるさとを取り戻すことができるよう、つぎのうち、ひとつでも、してくださるよう、お願いします。

① 復興庁は基本方針案のパブリックコメントを募集しています。締切(9月23日)が迫っています。でも、まだ間に合います。オンラインでの提出はhttp://goo.gl/EOw1MFです。FAXでも提出できます。
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-c043.htmlをご覧ください。

② 復興庁に、新潟県内の公聴会を開催するよう、要請してください。新潟県には山形、東京についで福島からの避難者がいます。新潟で避難者の声を聴け、と復興庁に伝えてください。提出は、パブリックコメントと同様です。
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