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福井地裁判決「大飯原発3,4号機の運転をしてはならない」と新規制基準

7月16日、規制委員会は川内原発1,2号機の新規制基準審査書案を了承し、同原発が新規制基準に適合していることを実質承認しました。今後、パブリックコメント等、一定の手続きを経たのち、早ければこの秋にも再稼働かといわれています。
  
新規制基準の内容や、福島原発事故が明らかにした防災計画をめぐる諸問題については、また別の機会にゆずることにして、ここでは「大飯原発3,4号機の運転をしてはならない」とした福井地裁の「関西電力大飯原発3,4号機運転差止請求事件」判決(5月21日)と新規制基準について違いを見ながら、規制委員会の審査適合とはどういうことかを考えたいと思います。

(1)福井地裁判決と新規制基準審査の根本的な相違

 規制委員会・新規制基準審査は…
・規制委員会の所掌は原発の規制であるとして、原発を今後も稼働させていくのかどうかについては、一切議論しない。
・したがって、規制基準は今後も現存の原発を稼働させていく前提で定められている。
・規制基準は福島原発事故の教訓をもとに「最大限の安全」を求めるとしているが、断層評価の一部を除けば、現存原発に可能な範囲の「最大限の安全」でしかない。
・事象が発生する確率が一定以下の場合は「起きない」と処理し、対策を義務付けていない。
・防災指針策定のみが所掌であり、立地自治体の避難計画の是非の判断は原発稼働の規制対象外としている。

福井地裁・判決は…
・本件訴訟を考える指針は、すべての法分野で最高の価値を持つ人格権で、日本の法制下で人格権を超える価値はない。
・原発の稼働は法的には「経済活動の自由」に属し、憲法上では人格権よりも劣位に置かれる(人格権が優位である)べきものである。
・福島原発事故は、原発の事故が人格権をきわめて広汎に奪う可能性があることを明らかにした。
・よって、福島事故のような事態を招く具体的な危険性が万が一でもあるのかどうかを裁判所は判断すべきであり、この判断こそが裁判所に課せられた最も重要な責務である。

(2)人格権とは?
私たちは、生まれながらに人格権を持っています。例えてみれば、私たちは人格権という“宝の小箱”を体内にセットされてオギャーと生まれてきた、というイメージです。
         
“宝の小箱”には「生命 身体 精神 生活」という、私たちが生きていくのに欠かせない4つのボールが入っています。

4つのボールが入った“宝の小箱”は、不当に奪われないよう、傷つけられないよう、憲法で保障され守られています。

憲法13条〔個人の尊重・幸福追求権〕すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
憲法25条〔生存権と国の責務〕すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。

福井地裁判決は、原発事故は広大な範囲の人々の人格権を傷つけ奪うものであるから、万が一でも事故の危険がある場合裁判所は、原発の運転を止める判断をすべきである、と述べています。
 
(3)判決が示した「福島事故のような事態を招く具体的な危険性が万が一でもあるのかどうか」を判断するポイント 
① 放射線の健康被害については様々な見解があるが、20年以上この問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。この事実は、放射性物質による健康被害について楽観的な見方をしたうえで避難区域は最小限で足りるとする見解に重大な疑問を投げかけている。
② 地震の発生は一度も予知できていない
③ 平成17年以後10年足らずの間に4原発で5回にわたり基準地震動を超える地震が起きている。いずれも、自然の前における人間の能力の限界を示すものであり、関西電力が想定した基準地震動を信頼できる根拠は見いだせず、基準地震動を超える地震が来ないというのは根拠のない楽観的見通しにすぎない。
④ 大事故に至らないよう対策が取られているというが、事故原因につながる事象すべてを取り上げること自体極めて困難であり、事故が発生し事態が深刻になればなるほど混乱と焦燥のなか、原発の従業員に的確・迅速の措置をとることを求めることはできない。
⑤ 事故の進行中に、どこに、どんな損傷が起き、それがどんな事象をもたらしているかを把握することは困難である。
⑥ 防御用設備を複数備えても、地震の際の安全性を大きく高めるものではない。
⑦ 放射性物質が一部でも漏れれば、そこには近寄ることさえできなくなる。
⑧ 何倍かの余裕を持たせて設計しても、基準を超えれば設備の安全は確保できない。
⑨ 福島原発事故において原子力委員会委員長は、使用済み核燃料プールからの放射能汚染が最も重大な被害を及ぼすと想定し、強制移転地域が170㎞以遠にも生じる可能性や、移転を認めるべき地域が250㎞以遠にも発生する可能性を指摘した。使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたとき、原発敷地外に放出されることを防ぐ原子炉格納容器のような堅固な設備はない。
⑩ 大飯原発3,4号機に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ちうる脆弱なものであると、認めざるを得ない。

判決が指摘した上記の判断のポイントは、新規制基準とその審査の根拠がいかに危うくもろいものかを明らかにしています。

(4)関西電力の「原発必要論」について、判決はどのように述べているか?
関西電力の主張①原発稼働は、電力供給の安定性、コスト低減につながる について判決は…

・きわめて多数の人の生存そのものにかかわる権利と、電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断したりすることは、法的には許されないことと考えている。

・コストの問題に関連して国富の流出・喪失の議論があるが、原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出・喪失と言うべきでなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると考えている。

関西電力の主張②原発稼働は、CO2排出削減に資するもので環境面に優れてい について判決は…

・原発で深刻な事故が起きた場合の環境汚染はすさまじく、福島原発事故は日本始まって以来の最大公害、環境汚染である。環境問題を原発運転継続の根拠とするのは、甚だしい筋違いである。


判決文は、安倍政権が声高に喧伝している「再稼働すべき論」を見事に砕いています。しかし、誤りを指摘されてなお強弁してはばからないのが安倍政権です。この判決がこれからの日本の道しるべとなるよう、1人でも多くの人にその内容を伝えていきましょう。

(*文献:「大飯原発3,4号機運転差止請求事件判決要旨」)

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