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ーフィルタベントの落とし穴ー フィルタなんてなんのその、すいすい通る放射能

第32回学習交流会「柏崎刈羽原発の審査 どうなってるの?」(11月16日)で発行した「会から皆さまへ」(No9)です。


「柏崎刈羽原いのち・原発を考える新潟女性の会」から皆さまへ No9(2014年11月16日
”―フィルタベントの落とし穴― フィルタなんてなんのその、すいすい通る放射能”


フィルタベントをテーマに8月26日に開催された「柏崎刈羽原発6,7号機・新規制基準適合審査会合」で、東電は「自主的な安全性向上対策として、排気ガスに含まれる〝よう素″を除去するための〝よう素フィルタ″を設置する」ことを明らかにしました。

「自主的な安全性向上対策」とはいうものの設置は、他社がすでによう素フィルタ設置を表明していることと無関係ではなさそうです。

フィルタベントには、その名の通りフィルタがついているのに、なぜさらにもう1つ〝よう素フィルタ″をつけるのでしょうか? 答えはかんたん、〝よう素″はフィルタベントのフィルタをすりぬけて外気に出てしまうからです。

格納容器から出て来る高濃度放射性物質のうちフィルタベントが低減(除去ではありません)できるのは「粒子状放射性物質」(代表はセシウム)です。「ガス状放射性物質」は低減できないので、そのまま出ていくことになるのです。

東電は8月26日審査会合の資料で、フィルタベントで低減できない「ガス状放射性物質」である〝希ガス″をどのように低減するかについて、次のように説明しています。

<〝希ガス″の低減方法> 
格納容器内にできるだけ長くとどめ(=ベント実施をできるだけ遅らせる)、放射能量を可能な限り減衰させる。ベント実施を遅らせるために、格納容器スプレイの実施や水源への補給等の対策を講じる。

〝よう素″も「ガス状放射性物質」なのでしょうか? 東電は次のように説明しています。
「圧力容器から格納容器に入ってくる〝よう素″の95%以上が〝粒子状よう素“(CsI)で、最大5%がガス状の〝無機よう素″(I₂)である」

ガス状の〝無機よう素″も〝希ガス″と同じ方法で低減するのでしょうか? 8月26日審査会合資料の説明を紹介します。

<〝よう素″の低減方法>
・サプレッションプール水中に取り込まれた〝粒子状よう素″が、サプレッションプール水中で〝無機よう素″に変化し、〝無機よう素″の一部が時間をかけて〝有機よう素″(CH₃I)に変化する。(〝無機よう素″の一部が時間をかけて〝有機よう素″(CH₃I)に変化する〝」について、 新潟県技術委員会で東電は「無機よう素のうち最大3%が有機よう素に変換する」と説明しています)

・一度生成された〝有機よう素″は格納容器内で除去されることなく、フィルタベントに流入する。

・サプレッションプール水のphを7以上に維持した場合、サプレッションプール水中で〝無機よう素″生成が抑えられ、その結果〝有機よう素″の生成量も抑えられるので、〝よう素″についてはサプレッションプール水のph制御を行うことが有効な低減対策となる。

・フィルタベントに流入したガス状の〝無機よう素″は、スクラバ水(フィルタベント設備に入っている薬液)内のチオ硫酸ナトリウムとの化学反応で〝よう素イオン″となりスクラバ水に溶解する。この化学反応を安定化させるためにはスクラバ水のphをアルカリ性に保つ必要があるので、スクラバ水には水酸化ナトリウムを溶解させる。

・〝よう素イオン″になりきれない〝無機よう素″と〝よう素イオン“にはならない〝有機よう素″は、〝よう素フィルタ“を設置し銀ゼオライト吸着材の中に取り込むことで低減させる。

果たして〝よう素″は東電のねらいどおり低減できるのでしょうか?県技術委員会では「〝無機よう素″の最大3%が〝有機よう素″に変換するというのは1995年段階の知見で、その後2004年に最大ピークで30%近くが〝有機よう素″になるという実験結果が出ている。1995年の3%をあまり前面に出すのはちょっと気になる」(2014年度第2回技術委員会議事録)という意見がありました。

8月26日の適合審査会合では、サプレッションプール水のph制御について「サプレッションプールの水量は膨大なので、ph管理は簡単にいかないのではないか」という懸念が出されています。

フィルタは、すべての放射能を外に出さないようシャットアウトする能力はありません。ベント実施時には、ガス状放射性物質の〝希ガス″全量と、“よう素フィルタ″でなおも取りきれなかった〝無機よう素″と〝有機よう素″等が外気へ流れ出ます。

その被ばく線量率について、8月26日の審査会合資料は次のように説明しています。

<ベント時の被ばく評価 (資料137頁)>
ベント実施にともない、大気中に希ガス等の放射性物質が放出されるため、フィルベント装置周辺の被ばく線量率は上昇する。ベント実施直後における主たる被ばく線源は希ガスであり、フィルタベント装置の放出口付近の作業エリアの被ばく線量率は一時的に1Sv/hを超えると考えられる。ベント実施時に行う消防車への燃料補給等については、被ばく線量率が低下した後に作業を行うものとする。(*1Sv/h:1Sv = 1000mSv  250mSvで急性障害(めまい、吐き気、脱力感等)が出始め、1.5Sv で一部死亡。1Sv/hは致死量に近い被ばく線量率です)

「ベント実施時に行う消防車への燃料補給等については、被ばく線量率が低下した後に作業を行う」とありますが、「被ばく線量率が低下した後」とは「プルームが通過した後」であり、その後プルームは刈羽村や柏崎市を通り風のふくまま県内を流れ、被ばくと土壌汚染をもたらします。(*プルーム:気体状(ガス状あるいは粒子状)の放射性物質が大気とともに煙突からの煙のように流れる状態を放射性プルームといいます。放射性プルームには放射性希ガス、放射性ヨウ素、ウラン、プルトニウムなどが含まれ、外部被ばくや内部被ばくの原因となります)

フィルタをすいすいと通り抜ける放射能の線量率は驚くほど高いです。高濃度放射能を垂れ流すベント実施を前提とした事故対策を、あなたは有効な対策と認めることができますか?「いのち・原発を考える新潟女性の会」6人は大声で言います。
「認めることはできません!」

(2014年11月26日)
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