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「東電新潟本社」に要請書を提出しました

4月1日に東京電力が設立した「新潟本社」に以下の要請書を提出し、およそ1時間、その概要を「新潟本社地域コミュニケーション部」課長松崎禎彦氏、「新潟本社企画広報部」課長代理植木克弥氏等3人に説明しました。


2015年4月16日
東京電力株式会社社長 広瀬直己様
東京電力株式会社新潟本社代表 木村公一様

いのち・原発を考える新潟女性の会
 山内悦子 大野和 佐藤早苗 本間伸子 桑原三恵 樋口由美子
                               
御社新潟本社設立にあたり、要請書を提出いたします。下記要請の内容は、当会学習交流会での議論を集約したもので、当会6人のみならず学習交流会参加者の思い・考えでもあります。意をくみ取っていただき、今月末までにご回答をお願いします。なお、当会の経過、活動等については以下をご覧ください。
 *「いのち・原発を考える新潟女性の会」について
中越沖地震後の柏崎刈羽原発を中心に、原発について分かりやすく学び、誰もが気軽に意見交換できる場を新潟市に作ろうと2009年3月に上記6人で発足しました。これまで学習交流会を36回開催し、原子力発電に係る様々な問題を参加者の方々と考えてきました。2011年3月11日以降は、被ばくとその影響、活断層と原発、福島の被害実態、事故の状況・原因・経過、賠償、東電テレビ会議、防災対策、県技術委員会の事故検証とフィルタベント設備検証、柏崎刈羽原発新規制基準適合審査等、学習交流を重ねています。また、2012年6月1日には、県民から寄せられたメッセージを経産省・保安院と御社本店に届け、話し合いをしました。御社では、広報部原子力センター所長・曾田満男様、同課長・竹内謙介様と面談いたしました。

東京電力株式会社新潟本社への要請

1 新潟本社設立の目的は、柏崎刈羽原発再稼働に向けて県民への働きかけ強化が中心であることは明
白です。にもかかわらず御社は、3月17日に発表した「新潟本社の設立について」で再稼働に一切ふれずに「新潟県の皆さまの思いにこれまで以上に誠実に向き合い、新潟県の皆さまとともに歩んでいく決意をかたちにしたい」と設立の趣旨を述べています。ホンネを隠し、「誠実」を標ぼうする御社の姿勢は、まさに誠実と裏腹ではないでしょうか?新潟県民を愚弄するものさえ感じます。新潟県民と真に誠実に向き合ってください。新潟本社設立の目的と「新潟本社の概要」にある「地域コミュニケーション部」の業務内容・計画について明らかにしてください。

2 以下の理由により、柏崎刈羽原発の再稼働は認められません。原発稼働に依拠した経営方針・計画を撤回してください。
①御社が起こしたシビアアクシデントは未だ収束していません。
②汚染水、汚染物資、放射性廃棄物、廃炉等、についてどのように対処するのでしょうか?事故の後始末ができないまま原発を稼働することは認められません。 収束・後始末ができないことが福島県民、とりわけ第一原発周辺住民を苦しめています。新潟に避難しておられる方の「福島はまだ収束せず、私たちも帰れない。そんな状況で再稼働を目指すなんてなぜ言えるのか」(新潟日報3月18日)に御社はどのように応えるのですか?
③事故によりそれまでの生活を奪われ、取り返しがつかない被害を受け続けている被害者は生活再建の見通しがつかず苦しんでいます。一方、御社は賠償責任を十分果たさないまま、原発で経営再建を図ろうと柏崎刈羽原発の安全対策に巨額の費用をかけています。そのような御社の在り方は容認できません。
④事故の経過・原因究明、検証は未了です。経過も原因も不明な部分を残したままの「安全対策」は間に合わせに過ぎません。
⑤2月末に明らかにされた汚染雨水外洋流出非公表は、御社の放射性物質管理、情報公開に重大な問題があり、住民や社会に対する企業倫理が確立されていないことを物語っています。
⑥海、山、川、肥沃な大地は新潟県民の命と暮らしを支える宝であり、私たちの誇りです。私たち県民はこの宝を守り、未来世代に渡していく責任があります。福島第一原発事故で明らかになったように、いったん放射能が流れ出れば、自然の恵みはだいなしになってしまいます。取り返しがつかない災厄をもたらす可能性をはらむ原発の再稼働を認めることはできません。安全対策には限度があり、万全の備えもいつかほころびます。原発稼働を止める以外ありません。
⑦途方もない危険を内包し処理できない核のゴミを出す原発より、自然エネルギーの開発に力を尽くすべきです。それが電力会社の社会的使命であり、真義です。

3 「新潟本社の設立にあたって」のなかで「当社として賠償など事業者の責任を完遂することを改めてお誓いいたします」とありますが、「事業者の責任」とは何かを明らかにしてください。とりわけ、被害者への責任をどのようにとらえ、果たそうとしているかを示してください。

4 「新潟本社の設立にあたって」では、「新潟県の皆さまの思いにこれまで以上に身近に向き合い」、「新潟県の皆さまと誠実に向き合ってまいります」とあり、重点的な取り組みとして「新潟県全域における対面でのご説明の実施」をあげていますが、御社が対面すべきは福島から県内に避難しておられる被害者の方々です。県内避難者全員と面談してください。避難者の方々が2011年3月11日からここまでどのように暮らしてきたか、どんな思いで過ごしてきたか等を聞くことが事故の責任を果たす第1歩です。 新潟県内の避難者の方々の話を聞く計画を立案、実行してください。
以上

(2015年4月16日)

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子どもを守れ!パブコメ出そう!

この「規則改正」で子どもたちを守れるか?・・・原子力規制委員会にパブコメを提出しよう!
原子力規制委員会(以下、規制委員会)は2012年10月31日に「原子力災害対策指針」(以下「指針」)を決定しました。翌2013年6月に施行されたこの指針に基づき、原発立地自治体は原子力災害避難計画等を策定することとされています。

ところが、この指針、検討すべき項目を網羅したものとなっていなかったのです。“積み残し課題”があったのです。はてさて、いくつ宿題が残っていたのでしょうか?

“積み残し課題”については、「指針」の「第6」に「今後、原子力規制委員会で検討を行うべき課題」として、つぎの6項目が挙げられています。
①原子力災害事前対策の在り方
②緊急時モニタリングの在り方
③オフサイトセンターの在り方
④緊急被ばく医療の在り方
⑤東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応
⑥地域住民との情報共有等の在り方

宿題は6つも残っていたのです。それも、すべて重要項目です。「指針」は料理なら生煮え状態、新築分譲マンションならまだとても売り出せないシロモノだったのです。

その後、規制委員会は検討チームを設けて検討を進めてきました。

そして3月5日、規制委員会は「これまでの検討結果等を踏まえ、指針及び原子力災害対策特別措置法に基づき原子力防災管理者が通報すべき事象等に関する規則を改正する。改正案についてパブリックコメントを募集する」と発表しました。(http://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20150305_01.html)

★改正する事項は、大きく2つあります。
1.指針関係
① 東京電力株式会社福島第一原子力発電所に設置される原子炉施設に係る原子力災害対策に関すること
②UPZ外における防護措置の実施方策に関すること
③SPEEDI等の予測的手法に関すること
2.通報事象等規則 東京電力株式会社福島第一原子力発電所に設置される原子炉施設に係る通報すべき事象等に関すること

★上記改正事項で私たちに直接係るのは、1-②と③です。

★1-②と③の改正内容
<1-② UPZ外における防護措置の実施方策に関すること>
“生煮え指針(2012年10月決定の現行指針)”では、原発事故に対する災害対策重点区域を、次のように定めています。

・即時避難区域(PAZ)…放射性物質の環境への放出前の段階から予防的に防護措置を準備する区域…
原発から概ね半径5㎞
・避難準備区域(UPZ)…確率的影響のリスクを最小限に抑えるため、緊急時防護措置を準備する区域…原発から概ね30㎞
・プルーム通過時に防護措置を実施する区域(PPA)…具体的な範囲、防護措置については今後検討する

“生煮え”だった「プルーム通過時に防護措置を実施する区域(PPA)」について、今回「改定案」が出されているのですが、原子力規制庁(以下、規制庁)は「改定案のポイント」を次のように説明しています。

原子力施設から著しく異常な水準で放射性物質が放出され、又はそのおそれがある場合には、施設の状況や放射性物質の放出状況を踏まえ、必要に応じて予防的防護措置を実施した範囲以外においても屋内退避を実施することとする。

これだけ?・・・そう、必要に応じて30㎞圏外でも屋内退避をする、これだけなのです。

規制庁の「UPZ外の防護対策について」(http://www.nsr.go.jp/data/000099128.pdf)に詳細が載っていますが、注目事項を紹介します。
・範囲や防護措置については、国際的議論の経過を踏まえつつ検討する。(福島第一原発事故の教訓をふまえて、ではありません)
・制度的基盤がすでに整備されており、新たな枠組みを設定する必要はない。
・現行のフレームワークに基づき、施設側の状況や緊急時モニタリング結果等をふまえて、屋内退避の指示をUPZ外の一定の範囲に拡張して対応する。
・拡張される屋内退避の実施範囲は予防的に同心円を基礎として行政区域単位等の実効的な範囲で設定するべきである。
・PAZからの避難のための応急対策拠点は重点区域外の境界周辺地域等(UPZと接する境界地域)に計画されており、重点区域外(30㎞圏外)の屋内退避が長時間継続すると、応急対策活動に過度な地帯が生じる恐れがあるため、放射性物質が通過したと判断された時は、速やかに屋内退避指示を解除することが合理的である。
・フィルタベントが一定程度有効に機能する場合なども考慮すると、放射性ヨウ素による内部被ばくと比べ、放射性希ガス類等による外部被ばくが卓越する場合もあると考えられる。
プルーム通過時の防護措置が必要な範囲や実施すべきタイミングを正確に予測することはできない。また、プルーム到達を観測してから安定ヨウ素剤の服用を指示しても十分な効果が得られない恐れがある。プルーム通過時の防護措置としては、内部被ばくと外部被ばくの両方を回避できかつ容易に実施できる屋内退避が最も実効的である。(つまり、30㎞圏外住民には安泰ヨウ素剤は備蓄も配布もしない、ということです)

<1-③ SPEEDI等の予測的手法に関すること>
規制庁は2014年10月8日に「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の運用について」を公表し、「被ばくリスクを高めかねないとの判断により、避難、一時移転等の防護措置の判断にあたって、SPEEDIによる計算結果は使用しない」と、SPEEDIを“厄介払い”してしまいました。この内容と「防護措置以外では参考とする可能性もある」ことを、今回指針に明記するということです。

★安定ヨウ素剤なし、基本は屋内退避、プルームがどちらの方向に流れて来るかは予測せず、流れてきたら「さぁ、屋内へ。外にいちゃいけないよ」・・・こんなことで、子どもたちを守れるとは思えません。

福島第一原発事故では30キロ圏外に今なお居住制限区域が広がっています。2011年3月、プルームは東京の水道水を汚染しました。

柏崎刈羽原発の7基全てと言わずとも、複数基から放射性物質が出る事故が起きた時、プルームは風の吹くまま流れ行き、雪や雨と共に地上に落ち、環境を汚染します。冬の季節風吹き荒れる日にそんなことが起きれば、一体どうなるのでしょうか?しかもそれが大きな地震との複合災害となったら・・・停電で真っ暗な家のなかで余震と寒さに震えながらプルームが去るのを待つ?・・・それどころか、屋内退避の指示が届くのか、それさえわからない・・・

パブコメ、だしましょう。
こんな指針では子どもたちを守れないと。

なお、新潟県は3月26日に提出しています。
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356808389326.html
内容を2つだけ紹介します。
・UPZ外であっても、放射性物質による被ばくの影響が及ぶ可能性があるため、安定ヨウ素剤の配備が必要と考える。そこで、UPZ外における安定ヨウ素剤の配備について、自治体の判断に基づいた現実的な対応が可能となるようにすること。
・実測値による防護措置の判断では、被ばくが前提となり、住民の理解が得られるか疑問がある。福島第一原子力発電所事故では、線量の高い地域に避難して被ばくした人がいたこと、原子力防災訓練で地元から避難先の判断をもとめられたことなどを踏まえると、適切な防護措置の判断には、予測も活用すべきであることから、その旨を記載すること。

(2015年3月27日)

1F事故&フィルタベント設備の検証に注目!今年度最後の技術委員会報告

今年度最後の技術委員会が開催されました。昨年度から引き続きの2つの検討事項について今年度はどこまでいったのか、報告します。

昨年度から引き続きの2つの検討事項とは?
1 福島第一原発事故検証:5項目について課題別ディスカッションが行われています。
2 フィルタベント設備の検証:避難との整合性を検証するためにどんなシミュレーションを実施するのかが、検討されています。

今回の技術委員会の議題も上記検討事項でした。

2014年度第4回技術委員会(3月24日 13:30~16:55 会場・県庁講堂)
議題
(1)福島第一原発事故検証について
<1号機原子炉建屋4階現地調査(2月21日)について>
当日撮影したビデオ、写真について東電・増井氏(原子力設備管理部 原子力耐震技術センター 安全調査GM)が説明、参加委員から追加説明、質問、コメント等がありました。

スクリーンに映し出された1号機4階の惨状は想像を絶するものでした。特にひどかったのが南西エリアのダクトです。つぶれてしまったもの、変形し一部垂れ下がったもの、大きく損壊したもの等、横並びのダクトの損壊状況が一つ一つバラバラで、いったいどんな方向からどんな力がかかったのか、簡単には言えない状況でした。

4階には比較的損壊の少ないエリアもあり、水素爆発はもちろんのこと事故の経過はほとんど解明されていないのだと実感しました。

映像にはときおり「40ミリです」と線量を知らせる声が入っていました。「80です」というのも聞こえてきました。

ビデオは原発事故の本質を語っています。それは事故現場に入るには“命がけ”だということです。事故が大きければ大きいほど、事故現場の放射線量に阻まれて原因や経過を徹底的に調べることができないのです。

設備や機器は事故を繰り返し、そのつど原因等が徹底究明されながら、安全性が向上するものだそうです。原発にはこの原則が通用しません。十分な現場検証による原因・経過究明ができないまま、たぶんこれが原因、だからたぶんこうすればより安全、たぶん、たぶん、たぶん・・・原発の安全はどこまで行っても“たぶん”に支えられたマッチ棒で作られた模型のようなものだと思いました。

なお、ビデオは東電HPにアップされています。http://photo.tepco.co.jp/date/2015/201502-j/150221-03j.html

★参加委員から追加説明、質問、コメント等
(田中)SLC入口に水たまりがあった。
(鈴木)SLC・空調ダクトの中央部が膨らんでいた。恐らく5階からの圧力によるものであろう。
(田中)SLCテストタンクに液が垂れた汚れがあり、すごくさびていた。
    SLCは瓦礫がある場所から20mほど離れていて、わりときれいだった。
    ちぎれたハンドルが見えるがどの方向からとんできたものか?
(東電)判然としない。
(田中)ICのケーシング、保温材がはげてタンクが丸出しになっていた。B系に脱落が多かった。右から左に風が抜けたとみえる。
(東電)大物搬入口からの風が影響している。
(田中)西側のダクトの破損がすごい。4階での爆発の影響もありうる。上からの力でつぶれたダクトもある。そこから先はなくなっている。出水箇所の脇に位置している。鉄骨が丸見えだ。
(鈴木)天井のコンクリートがはがれていたところか?
(田中)そうだ。爆発の現場に見える。つぶれたダクトには、割れ目が見える。ベント管の金属カバー、保温材もめくれている。金属カバーは外側からの力・内側からの力、どちらが働いたのか?
(東電)ダクトの位置が左から右に移動している。爆風は左から右へと来た。
(田中)つぶれたダクトのすぐ下にB系タンクがある。タンク下部はやられていない。タンクには白い跡がたくさんいついている。一時サウナ状態で、冷えてたれたのではないか。説明が必要だ。
大物搬入口の4方向にハンドレールはついていたのか?
(東電)4方向ともついていた。
(田中)網が付いたハンドレールがぶらさがっているが、どこからきたものか? 重さ1.5トンの蓋のありかは?
(東電)4階に吹き込んで瓦礫となっている。
(田中)吹き抜けなのだから1階まで行くのではないか?
(鈴木)ダクトは外からの圧力を受けてつぶれている。
(田中)天井が剥げ落ち、鉄骨が出ている。
    3階のケーシングはきれいで、損傷もひどくなく、健全だ。4階の損傷状況は格別だった。
(東電)2階でも30mSvあり、アラームが鳴って調査終了となった。

★参加委員からのコメント
(杉本)5階の天井が落ちているのは衝撃だった。こういう事故を起こしてはならないと思った。
(鈴木)排気ダクトは内・外の圧を受けている。4階爆発の可能性はある。資料1-3 4頁065の写真は何かがぶつかって折れた状態ではないか。蓋がどこに行ったかは議論が必要だ。
(立石)爆発が4、5階のどちらかはむずかしい。メカニズム的には5階爆発が濃厚だが、5階の状況は不明なので、結論はだしにくい。ここでの議論だけではにつまらない。外部専門家のコメントが必要なのではないか。4階の状況がまだら(場所によって違う)のは何なのか、理解できない。
(田中)念願かなって調査ができた。この調査は、KKにも係る水素の通路の検討と、小LOCAがあったのかの確認、のためのもの。5階床の厚さは一定なのか?それもふくめて、ICベントラインの運用、SBO後の弁動作等について情報が必要だ。蓋が上からの圧力で抑えられれば、ロープがちぎれるはずだ。
(中島)SLCは比較的きれいだった。政府事故調の指摘と整合が取れないと思った。パートで壊れ方が異なる感じがあった。1号機の映像情報は残してもらいたい。
(田中)東電は13年11月18日に調査の結果、配管損傷はなかったと断言したが、瓦礫にうまっているのもあり、断言はできない状況だ。

★他の委員からの質問・意見
(藤澤)上部がやられているということは水素による損壊ということか?
(中島)損壊は2タイプある。内・外両方の圧力があったのではないか。
(藤澤)外圧は考えにくいのではないか。損壊のメカニズムとして水素爆発を検討すべきだ。
(山内)地震によるLOCAの有無をどう考えるか。
(中島)絶対なかったとはいいがたい。可能性は低いとは思うが、何とも言えない。
(小山)大雑把に言うと、南西側は爆発によるダメージで、北側は5階からの落下によるダメージではないか。ダクトへの水素流入の経路、壁のダメージ、ダクトサポートの有無等、情報がそろうと見えて来るのではないか。
(山崎)調査に参加したかったが、足が悪く行けなかった。どういうことが起きたのか、分からない。外部専門家の解説がほしい。
(中島)考えてみる。
(吉川)規制庁も現地調査をしているのではないか。調べてもらいたい。
(中島)規制庁はSLCには入っていない。
(鈴木)3階のハッチにシートをかける以前の写真はあるか? 4階北側には、5階の鉄筋が落ちてきている。全貌はどうなっているのか?
(東電)写真はある。鉄筋については今後検討する。
(中島)今後、検証を続けていく。

<課題別ディスカッション議論の状況について>
★2014年9月以降の議論について山内委員が下記を報告
・課題2 海水注入等の重大事項の意思決定
 ICのフェイルクローズについて議論している。大きなカギになると思う。
・課題3 東京電力の事故対応マネジメント
 公開された吉田調書をもとに議論した。1,2号機について誤った判断をしていた。
・課題4 メルトダウン等の情報発信の在り方
 メルトダウンという言葉を、パニックを避けるために使わなかったことは明白だ。官邸と経産省に、情報伝達を妨げる動きがあった。
課題別ディスカッションは行きつくところまで行きついた感がある。これ以上の検証は困難な部分もあり、ソフト面の検証については、違う方法が必要な段階に至ったと思う。

★委員意見等
(立石)情報発信の検証が、東電の姿勢に活かされていない。ここでやっている検証は何なのか?事故後の東電の対応についても、議論する必要があるのではないか。
(田中)吉田調書を見ると、東電という組織は事故対応で本当に機能したのか検証すべきだと思う。吉田所長は運転には精通していなかった。位が上がると現場の最新知見にはうとくなる。そういう人がトップダウンで指揮を執って良いのか?今後もこのスタイルでいくのか?住民対応、作業員対応、ハード面と整理して検証すべきではないか?
(中島)一人の人間が全て分かるというのは困難だ。トップが現場の知見を得ることも難しい。新基準でバックフィットを入れたが、それで全部カバーできるわけではない。 今後の進め方について指摘があるので、事務局に検討をお願いしたい。新たなスタイルを考えたい。

(2)フィルタベントの検証について
<吉川委員質問に対する県の回答>
質問・回答は資料3-1参照
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/561/641/150324%20No.31,0.pdf

<鈴木委員に対する東電の回答>
資料3-3(東電の回答http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356808043576.html)の下記項目と、「25時間ベントシナリオの評価条件変更について」(資料3-5)を東電・川村氏が説明
・4~5頁 1.3.水―Zr反応について
・13頁 5. スプレイ効果
・19頁 追加8
 
★質疑応答
(中島)条件変更は今後補正をかけるのか?
(東電)その予定である。
(鈴木)東電回答は説明不足であり、了承できない。分かったというレベルに達していない。
    19頁回答について、原子炉内の放射線分解はどうなっているのか?
    どのくらいの酸素、水素が発生するのか?
    水温によって違うのではないか?
(中島)回答のベースとなったものを示して、文書で回答してもらいたい。
(鈴木)この回答状況で38時間について技術委員会でOKされるわけがない。
(吉川)BWRで最も厳しいSAは何か、位置づけが必要だ。格納容器外のLOCAを考えるべきだ。住民にとって一番重要なSAを検討すべきである。 新基準では立地審査指針はないと聞いている。そうだとすると、多重防護の第5層が必要だが、規制委は審査しない。県は困って、今回のシナリオが出ている。全国に影響すると思うがどう考えているのか
(中島)泉田さんが指摘していることであり、自治体への負担は大きすぎると思う。
(県・市川)事故と避難の整合性を検証する。4ケースで、どの範囲に影響が及ぶのかを見る。インターフェイスLOCAは今後議論していくことになろう。
(東電)十分答えていないところは今後回答していく。資料3-5(評価条件変更)は住民避難の時間確保を考え、給水・冷却がポイントとみて変更した。住民を守ることにつながる。シミュレーションは25時間で行う。
(吉川)ソースタームは事故状況で変わる。計算は誰がやるのか?
(県・市川)25、18時間ケースはMAAP,6時間ケースは25・18ケースソースタームを6時間に改変し、厳しい方を取る。8時間ケースは全量出るケースなので、1F2号機を参考に出力補正をして1時間で全量出るとする。実気象データを使う。
(中島)パラメータでいかようにも変わる。最短6時間を含む4つのケースで、一番厳しいものも包絡すると考えて評価していくことでいいか?あくまでケーススタデイである。
(鈴木)それでいいが、フィルタベントは故障するのではないかと思う。サプレッションチェンバーから
のウェットウェルベントの場合のソースタームを追加したらどうか。
(中島)費用もかかるが、検討してみたらどうか。
(鈴木)ウェットウェルベントは、4つやらずとも、ひとつやれば残りは見えてくると思う。
(中島)では4ケースでシミュレーションを実施し、評価を進めていくことにする。

(3)その他
資料4-1(県民の意見・質問提出状況について)、4-2(県から規制委への要請書)を県が説明

(田中)KKの申請書を読んでいるが、格納容器破損について2PD、200℃の根拠に納得がいかない。
技術委員会で議論しないのか?
(須貝課長)規制委員会の審査で疑問が残ることについて技術委員会で議論する。
(鈴木)基本はそうだと思うが、いつ議論することになるのか?
(須貝課長)避難計画との整合性検証の中で必要な議論をする。
(吉川)防災は内閣府が担当ではないか。
(須貝課長)自治体は避難計画等作成することになっている。内閣府は作成のためのワーキングチーム
を立ち上げている。設置が発表された地域原子力防災協議会は、ワーキングチームを発展さ
せたものと説明を受けている。基本的には変わらない。
(田中)2PD,200℃について議論すべきと考えている。早めにやるべきだ。
(須貝課長)防災上必要があればする。
(中島)今のことも踏まえて調整する。

事故検証は継続されますが、新たなスタイルも検討することになりました。
数回にわたって議論が続いたフィルタベント検証の事故シミュレーションは、これまで提示されている4つのケースで実施されることになりました。
鈴木委員や田中委員の提起もぜひ検討すべきです。

フィルタベント検証の4つのシミュレーションについては、後日ブログでお届けします。
(2015年3月26日)

第34回学習交流会報告 経産省の原発サバイバル作戦!

第34回学習交流会
開催期日 2015年1月18日(日)13:30~16:10
会場   クロスパルにいがた 4階402講座室
テーマ  「原発サバイバル作戦?! ―経産省・原子力小委員会「中間整理」のなかみー」


・2015年2月20~21日ネット掲載の“『東京ブラックアウト』若杉冽×古賀茂明 告発対談 「キャリア官僚はメルトダウン中に再稼働を考え始める生き物です」 現代ビジネス スゴ本の広場http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42017”に、次の発言が載っています。

若杉:見せかけじゃない発送電分離を作ると言いながら、実はできるだけ先延ばしして、その間に既存の電力会社が生き延びられるように、制度的に全部きっちり保証してしまうというやり方をするんですね。
古賀: 国民から見れば、東京電力はまだまだ、だれも責任とってないじゃないかという話なんですが、他の電力会社から見ると、国に対して俺たちを同じ目に遭わせるつもりじゃないでしょうね、万一、事故があっても、東京電力みたいな惨めなことにはならないようにしてくださいよということなんです。だから、発送電分離の前に今、ものすごい細かいことまで含めて全部経産省がたぶんリストアップして、はい、これは何々審議会の何々小委員会ね。これは内閣府の方でやってもらえますか、と制度的に保証しようとしている。

若杉: おっしゃるとおりなんですよ。今まではそもそも原発事故は起きないという前提だったので、もしものことが起きたときについての制度的な備えはなかった。何かあったら国が面倒見てくれるだろうという電力会社と、経産省の間で、阿吽の呼吸という感じの信頼関係があったんです。けれど、原発事故があって、そういう阿吽の呼吸でやるとか信頼関係とかそういうのも崩れてきている。だから、全部制度的に担保しなくちゃいけなくなって、それをやっているんです。そういう意味ではまさに改悪なんですよね、制度としては。

古賀: そう。だから今までなんとなくふわふわとした部分があったんで、だから原子力ムラのモンスターといっても、なんとなくちょっとやや弱いところもありそうな、アキレス腱がありそうな感じのモンスターだった。

若杉: そうですよね。ところが、最後のアキレス腱のところまで鎧で覆ってしまうような改正を今、進めつつありますよね。ガチガチに重武装して、だれがどうやってかかっても絶対に簡単に払いのけられるようなモンスターになろうとしている。で、その重武装が全部バラバラに行われてるんですよ。

古賀: マスコミはとても理解できていない。本当は一覧表にして、事故が起きたときとか起きないときも含めて原発にまつわるいろいろなコストっていうのを、こういうものは必要です、こういう対応は必要です。全部1から20、30ぐらいまで挙げてこれはここで手当します、どこの審議会で議論しています、どこの大臣がこういう発言してますという一覧表をつくってパッと貼り出すとすごいおもしろいだろうなと。


・若杉、古賀両氏は「やがて完遂される発送電分離を含む電力システム改革にむけて、原発を持っている電力会社があおりを食って倒れないように、どんな攻撃をもはねかえすような重装備の制度を経産省が急ピッチで進めている。しかしその審議・検討等の全体像は見えなくなっている」と言っています。
 
・第34回学習交流会「原発サバイバル作戦?! ―経産省・原子力小委員会「中間整理」のなかみー」のプレゼン資料を作るために原子力小委員会等の議事録や資料を読む過程で「発送電分離を作ると言いながら、実はできるだけ先延ばしして、その間に既存の電力会社が生き延びられるように、制度的に全部きっちり保証してしまう」ことを至上命令として実現に向け周到なルートをまい進し続ける一団が経産省に存在するのを実感しました。

・両氏が指摘している原発サバイバル(延命)作戦の手綱を握っているのは経産省の資源エネルギー庁です。

・資源エネルギー庁:(Agency for Natural Resources and Energy)とは「石油、電力、ガスなどのエネルギーの安定供給政策や省エネルギー・新エネルギー(原子力、太陽光、風力、スマートコミュニティ等)政策を所管する日本の経済産業省の外局」です。

・サバイバル作戦の審議・検討は資源エネルギー庁の審議機関である総合資源エネルギー調査会が統括しています。

・総合資源エネルギー調査会には4つの分科会があり、各分科会に課題に沿って小委員会だのワーキンググループだのが次々にぶらさがるように追加され、審議・検討が進められていきます。

 *総合資源エネルギー調査会の骨組み
1 基本政策分科会
  ・長期エネルギー需給見通し小委員会 
    発電コスト検証ワーキンググループ
  ・電力システム改革小委員会 
    制度設計ワーキンググループ
  ・電力需給検証小委員会  
  ・ガスシステム改革小委員会
2 省エネルギー・新エネルギー分科会
  ・省エネルギー小委員会 
    自動車判断基準ワーキンググループ
    工場等判断基準ワーキンググループ
    住宅・建築物判断基準ワーキンググループ
    小売事業者表示判断基準ワーキンググループ
    照明器具等判断基準ワーキンググループ
    建築材料等判断基準ワーキンググループ
  ・新エネルギー小委員会 
    買取制度運用ワーキンググループ
    系統ワーキンググループ
3 資源・燃料分科会
  ・石油・天然ガス小委員会 
    石油市場動向調査ワーキンググループ
  ・鉱業小委員会
4 電力・ガス事業分科会
  ・原子力小委員会 
    自主的安全性向上・技術・人材ワーキンググループ
    放射性廃棄物ワーキンググループ
    原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループ
    地層処分技術ワーキンググループ
  ・電気料金審査専門小委員会 
    火力電源入札ワーキンググループ
    廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ
  ・ガス料金制度小委員会
 

資源エネルギー庁のお役人たちは、小委員会やワーキンググループの審議状況を巧みに操り、審議結果の整合性を調整しながら“ガチガチに重武装”の制度策定に取り組んでいます。

これらの会合は公開されていますが、開催される毎に審議内容が詳細に報道されることはありません。審議のエポックや結論が報道され、私たちは「えーっ、そんなこと、いつ決まったのー?」と驚くのが実情です。

・上記の小委員会等を原発に係る課題で整理すると次のようになります。
A<原子力政策全般> 原子力小委員会
B<原発の安全性向上、人材確保等>自主的安全性向上・技術・人材ワーキンググループ、 原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループ
C<放射性廃棄物>放射性廃棄物ワーキンググループ、 地層処分技術ワーキンググループ
D<廃炉費用>廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ
E<エネルギーミックス検討>長期エネルギー需給見通し小委員会、 発電コスト検証ワーキンググループ
 
 

・第34回学習交流会では、原子力政策全般を検討・審議した原子力小委員会を取り上げました。当日のポイントを報告します。

1 原子力小委員会の経過
「エネルギー基本計画」 閣議決定 (2014年4月11日)⇒ エネルギー基本計画」に示された原子力分野に関する方針の具体化に向けて、 課題を整理し、必要な措置の在り方について検討するため2014年6月に原子力小委員会を設置 ⇒ 10月末までの8回にわたる議論が、昨年末に「中間整理」としてまとめた

2 委員構成
委員長   安井 至(独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長 )
委 員    秋池 玲子(ボストンコンサルティンググループシニアパートナー&マネージング・ディレクター)
       遠藤 典子(東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
       岡 素之(住友商事(株)相談役)
       岡本 孝司(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授)
       開沼 博(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 特任研究員)
       崎田 裕子(ジャーナリスト・環境カウンセラー、NPO法人理事長)
       佐原 光一(中核市市長会 会長/愛知県豊橋市長)
       高橋 信(東北大学大学院工学研究科教授)
       辰巳 菊子((公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問)
       友野 宏(新日鐵住金(株) 代表取締役副会長)
       西川 一誠(福井県知事)
       伴 英幸(NPO法人原子力資料情報室共同代表)
       日景 弥生(弘前大学教育学部・教育学研究科教授)
       増田 寛也((株)野村総合研究所 顧問/東京大学大学院客員教授
       圓尾 雅則(SMBC日興証券(株)マネジングディレクター)
       森本 敏(拓殖大学特任教授、前防衛大臣)
       山口 彰(大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授)
       山地 憲治((公財)地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)
       山名 元(国際廃炉研究開発機構理事長/京都大学原子炉実験所教授)
       吉岡 斉(九州大学教授)
      (計 21名)
専門委員
       池辺 裕昭((株)エネット代表取締役社長)
       岸本 薫(全国電力関連産業労働組合総連合会長)
       豊松 秀(関西電力(株) 代表取締役副社長執行役員 原子力事業本部長)
       服部 拓也(一般社団法人日本原子力産業協会理事長)
       松浦 祥次郎(独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長)
      (計 5名)

総勢26人のメンバーのなかで、脱原発派と呼ばれる人は3人のみです。

大半が原発容認ないしは推進派が占める原子力小委員会の審議は、「エネルギー基本計画」に示されている「原発はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発は再稼働を進めていく、原発依存度を可能な限り低減させる」への異論は封じられて進んでいきました。

3 審議項目・・・主な内容
①総論・・・「エネルギー基本計画」における原子力の位置づけについて、原子力事業者に求められていること、原子力小委員会・政府と事業者の役割、は何か
②福島第一原発事故の教訓・・・事故の教訓ならびに政府、事業者がすべき努力は何か?
③日本のエネルギー事情と原子力に位置づけ・・・福島第一原発事故後の状況変化、エネルギー需給構造の構造的課題は何か?
④原子力依存度低減の達成に向けた課題・・・依存度低減決定、電力システム改革進展の状況のもとでいかに円滑に廃炉を進めるか? 技術、人材、放射性廃棄物、会計関連制度、立地地域経済・雇用への影響等を検討
⑤原子力の自主的安全性の向上、技術・人材の維持・発展について・・・他国に依存せずにいかに安全性向上・確保を図っていくのか?
⑥競争環境下における原子力事業の在り方・・・自由化された市場で民間事業者が主体的に原子力事業を行っていけるようにするための環境整備はいかにあるべきか?
⑦使用済燃料問題の解決に向けた取組と核燃料サイクル政策の推進・・・現状と問題点は何か? プルトニウムの管理と利用、放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発、高レベル放射性廃棄物の最終処分をいかに進めていくか? 中長期的な核燃料サイクル政策の推進はどうあるべきか?
⑧世界の原子力平和利用への貢献・・・日本の役割は何か?
⑨国民、自治体との信頼関係の構築・・・いかに信頼関係を構築していくのか?

4 上記9項目について昨年末に「中間整理」がまとめられました。

審議・検討の最終結論・合意に至る前に一定の方向をまとめて公表する、ということは珍しいことではありません。「中間報告」でも「中間まとめ」でなく「中間整理」というのですから「さまざまでた意見を論点に沿って整理した」ものと言うのが一般的なとらえ方だと思うのですが、事務局は「中間整理は政府の具体的な政策立案に活かすための提言である」と位置付けました。これについて伴委員(原子力資料情報室共同代表)は次のように反論しました。

 ・まとめと言えないものなので提言にならない。
 ・事務局整理項目と委員会における主な意見という構成になっているが、整理案が提言とすれば「再処理から撤退上記の反論をうけて、すべき」という意見も提言と解釈できるが、それでよいのか?

この反論を受けて事務局は「活かすための提言」を「活かすために中間的な整理を行ったものである」に替えました。

5 「中間整理」のなかみ

原子力小委員会が「中間整理」にまとめた「エネルギー基本計画」に示された原子力分野に関する方針の具体化に向けた課題の整理と必要な措置の在り方をざっくりまとめてみました。

<エネルギー基本計画における原発の位置づけ> : 原子力小委員会のまとめ
<原発は重要なベースロード電源> 
・エネルギー需給構造の課題克服には原発が必要不可欠である。
・電力システム改革の状況下でも民間事業者が主体的に事業を行っていくことができるよう、政策措置が必要である(例えば英国のCfD制度)
・使用済み燃料問題解決と核燃料サイクルを進めていく
・輸出を通して世界の原子力平和利用に貢献していく
・国民、自治体との信頼関係を構築する取組を進める

<新規制基準に適合すると認められた原発は再稼働>
・安全性の向上には、技術・人材の維持発展が不可欠であり、世界をリードする質の高い技術・ノウハウを次世代に伝承するよう、一定規模のサプライチェーンを確保しつつ、実プラントを通じた経験が可能となる環境を整備しなければならない

<原発依存度を可能な限り低減させる>
・廃炉を円滑に進める
・そのために、①技術・人材確保②放射性廃棄物処分③会計関連制度④立地地域への影響考慮等の検討が必要である。

こうしてみると、経産省が脱原発を望む国民の声などまるでないかのように、しゃにむに原発サバイバルに向けて「どんな攻撃をもはねかえすような重装備の制度整備」を着々と進めようとしているのが、はっきり見えてきます。制度整備どころか、「実プラントを通じた経験が可能となる環境を整備」の名目で、新規建設、増設、リプレースの計画が近いうちに飛び出て来そうです。

以下は、9項目の主な内容と問題点です。

①総論:「エネルギー基本計画」に示された原子力分野に関する方針(「原発はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発は再稼働を進めていく、原発依存度を可能な限り低減させる」)の「原発依存度を可能な限り低減させる」は「廃炉を円滑に進める」と位置づけたのみで、依存度低減の方法や目途等の審議、検討がないまま、原子力小委員会の役割は「廃炉を円滑に進めるための必要な措置の在り方について検討する」とされた。

②福島第一原発事故の教訓:女川原発を例に「電源確保の成否が結果に大きな差をもたらした」と事故原因を限定している。避難指示の解除と帰還促進の取組が被災者への政府の役割としている。原子力小委員会として事故の教訓をどうとらえるかが明確に述べられていない。事故で浮かび上がった問題(避難計画や賠償等)が議論されていない。

③日本のエネルギー事情と原子力の位置づけ:エネルギー需給構造の構造的課題(海外資源に大きく依存する、温室効果ガス排出量の増大等)はその多くがこれまでのエネルギー政策の結果であるにもかかわらず、その検証がなされていない。2014年度燃料費増加試算結果(3.7兆円)は「原発停止分の発電電力量を火力発電で代替した推計」であり、実際額を2倍にふくらませた金額となっている。原発が抱える問題を軽視し、「エネルギーセキュリティに原発が必要」「運転コストが低廉」「運転時に温室効果ガスを排出しない」「準国産エネルギー等、根拠がない原発必要論が述べられている。

④原子力依存度低減の達成に向けた課題:政策決定(依存度低減)により想定より早期に廃炉せざるを得なくなっている、加えて状況変化(電力システム改革)もあり、従来の仕組みについて懸念、課題が出てきているとして①技術・人材確保②放射性廃棄物処分③会計関連制度④立地地域への影響考慮等の検討の必要性をあげ、低減達成をどのように進めていくか等の課題は審議されていない。「④立地地域への影響考慮」では「交付金制度の趣旨を踏まえ、稼働実績を踏まえた公平性の確保」として再稼働に同意した立地自治体には支援(交付金)」を増額する方向が示された。(これに基づいて政府は今年1月に、再稼働に伴い立地自治体に配る新たな交付金を設けることを決め2015年度予算に15億円を盛り込んだ。全原発が停止している現在、電源三法交付金は、81%発電しているとみなして全立地自治体に交付されているが、再稼働したとしても運転率が81%以上に及ぶことは困難なため、再稼働しない原発立地自治体より受け取る交付金額が少なくなる矛盾が生じる可能性があり、政府は早急な対応を求められていた)

⑤原子力の自主的安全性の向上、技術・人材の維持・発展について:「技術・人材維持のためには、廃炉や海外プラント建設・保守だけではカバーできない技術が多い。世界をリードする質の高い技術・ノウハウが次世代に伝承されるよう、一定規模のサプライチェーンを確保しつつ、実プラントを通じた経験が可能となる環境を整備しなければならない」として、新設・リプレースにつながる「原発必要論」が展開されている。

⑥競争環境下における原子力事業の在り方:「原子力事業は、投資額が巨額で廃棄物の処理も含め事業期間が長期という特有の特徴があり、安全規制ルールの見直し、原発依存度の低減、電力システム改革の進展(小売全面自由化、料金規制撤廃)との状況変化などの課題に直面している。原子力事業の予見性を高め、民間事業者がリスクがある中でも主体的に事業を行っていくことができるよう、必要な政策措置を講ずることが必要である」として電力会社が原発を運転していけるよう特別の措置設定を勧めている。その一例として、キーナガン・クラーク氏(英国エネルギー・気候変動省 副部長)が英国のCfD制度について講演した。
CfD制度:差額決済契約制度( Contract for Difference ):
  ・原発からの電力の基準価格を決めておき、市場の取引価格が基準価格より下回った場合は差額を補てんし、超えた場合は払い戻す
  ・建設資金は自前調達であるが、基準価格設定で確実に利益が確保でき、投資を回収できる
  ・「ヒンクリーポイントC原発」(フランス・アレバ社が計画)に導入
  ・基準価格は35年間保証される  

⑦使用済燃料問題の解決に向けた取組と核燃料サイクル政策の推進:「青森県や六ヶ所村の十分な理解と協力を得て政策を進める、使用済み燃料貯蔵について敷地内外を問わず新たな地点での中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用の促進、 高速炉や新型炉を含めプルトニウムを利用する方策の開発を継続、 もんじゅを含めた研究開発を放射性廃棄物の減容化・有害度低減や高速炉を含めた将来のエネルギーオプションを開発していく目的で進める、 使用済MOX燃料の処理技術の確立に向けて取組継続、専門的な視点を踏まえた中長期的な視点で体制、官民の役割分担、政策的措置としての対応、時間軸について現実的に検討、が必要」とされ、エネルギー基本政策に盛られた再処理政策継続について方向性が述べられている。高レベル放射性廃棄物の最終処分については「将来世代も含めて最終処分に関する意思決定を見直せるよう、可逆性・回収可能性を担保すること、代替処分可能性の検討も必要、住民が参画する合意形成の仕組みが必要」等が示されている。

⑧世界の原子力平和利用への貢献:「福島原発事故の経験・教訓に学びながら、資機材や技術の提供を通じて世界の安全向上に貢献することは責務であり、期待もされている」として原発輸出推進を正当化している。核不拡散については「原子力協定を締結するなど、平和的利用・不拡散を徹底すると同時に相手国にも約束させ、平和的利用・不拡散に貢献していくことが重要」とあるが、「平和的利用・不拡散に貢献」するための原子力協定はどうあるべきかや、相手国との「約束」の内容は触れていない。トルコやベトナムとの原子力協定は核不拡散について極めてゆるい規定にすぎず、両国が合意すれば濃縮・再処理ができる内容となっている。
伴委員(原子力資料情報室共同代表)は「相手国との約束」について「①協定違反には技術,機器・資材等を引き上げる ②相手国に核兵器開発をやめさせる仕組み作り が必要だ」と、ペナルティや相手国の核不拡散に向けた具体的な取り組みの確認を考慮すべきだと述べている。

⑨国民、自治体との信頼関係の構築:信頼関係構築の原則として「きめ細やかな広聴・広報、説得力のある議論、立地自治体が果たしてきた貢献について全国的な理解促進」を挙げているが、一方的な情報提供の域にとどまり、信頼関係構築の基礎となる双方向コミュニケーションの必要性が言及されていない。その上「きめ細やかな広聴・広報」では「初等・中等教育の段階から草の根的な広聴・広報活動を実施しいてくべき」と学校教育の場での原子力政策の情報提供の徹底が述べられている。立地地域支援については、これまでの支援策が「十分に機能していない可能性がある」として必要な政策の検討を進めるべきと述べている。


経産省の独走を黙認すれば、「ガチガチに重武装して、だれがどうやってかかっても簡単に払いのけるようなモンスター」誕生に手を貸すことになってしまいます。そうならないようにするにはどうしたらよいのか、本当に真剣に考え取り組まねばなりません。

次回のブログは「第35回学習交流会 どうなる?原発廃炉!」を報告します。

第33回学習交流会報告 後藤政志さん、確率と安全を語る!

第33回学習交流会
開催期日 2014年12月14日(日)13:30~16:10
会場    クロスパルにいがた 4階映像ホール
内容   
後藤政志さん講演会「適合審査の落とし穴 -確率が小さい事故は無視?-」

2013年9月末、泉田知事の条件付き承認のもと、東電は柏崎刈羽原発6,7号機の規制基準適合性審査を申請しました。

規制委員会は18回の及ぶ東電へのヒアリング(非公開となっています)を経て11月21日に第1回審査会合(申請の概要について)を開催しました。

その後、第2回(11月28日:申請内容に係る主要な論点)、第3回(14年1月24日:地質について)が開催されたあと、審査会合は半年間“休眠”しました。もっとも、ヒアリングはこの休眠期間に40回ほど開催され、傍聴者もマスコミも不在の中で規制委員会と東電の間で審査内容をめぐって意見交換が行われていました。

昨年7月、審査会合は“休眠”を終了、現在もかなり頻繁に開催されています。

第4回(7月22日)確率論的リスク評価について、第5回(8月5日)静的機器の単一故障について。第6回(8月26日)フィルタベントについて、第7回(9月2日)フィルタベントについて、第8回(9月30日)確率論的リスク評価について 第9回(10月2日)事故シーケンスの選定について

と、立て続けに開催される審査会合の議事内容を動画で見ているうちに、大きな疑問が浮かび上がりました。

確率論で安全は確保できるのか?

例えば、「圧力容器内の水蒸気爆発(高温の溶融物が冷却水中に落下して水蒸気爆発が発生し、そのエネルギーで圧力容器の蓋がミサイルとなって格納容器に衝突し、格納容器が破損する)」は、発生頻度は極めて低い、という理由で、「ありうる事故」として対策の有効性(効き目)を審査する対象から外されています。

この他にも、確率が低い、との理由で、対策の有効性の審査のみならず、対策そのものもスルーされたりしています。

そこで、後藤政志さんに「確率と安全」を中心に新規制基準とその審査の問題点を講演していただきました。

講演は下記でご覧いただけます。
ブログには、〝あさこはうす″支援物販の写真も掲載されています。

http://youtu.be/vgkPnREvy6w
http://gotomasashi.blogspot.jp/2015/01/blog-post.html
https://www.facebook.com/MasashiGoto2

(2015年2月17日)



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