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「東電テレビ会議で何を話していたの?」 第27回学習交流会報告

いのち・原発を考える新潟女性の会・第27回学習交流会(6月15日)は東電テレビ会議を取り上げました。

東電テレビ会議の映像はすでに全国各地で上映会が開催され、事故発生直後のリアルタイムの状況をご覧になった方々も増えています。新潟県でも、3月に長岡市で上映会が催されました。

一方、テレビ会議は文字起こしされ「福島原発事故東電テレビ会議49時間の記録」のタイトルで岩波書店から出版されています。東電本店が録画した3月12日22:59から15日00:06までのテレビ会議での会話を伝える400頁余(A4版)のうち、今回は12日22:59から13日23:49までをレポートしました。

当日のプレゼンテーションの構成です。
(1)テレビ会議公開の経過
(2)3月11~12日の事故経過
(3)3月13日の“福島第一原発”
(4)浮かび上がる問題

このブログでは、「(4)浮かび上がる問題」の骨子を報告します。

テレビ会議の会話から浮かび上がる問題を5点にまとめました。
① 事故対処のネック ② 情報  ③ 東電本店中枢の認識  ④ メルトダウンの認識  ⑤住民への目線
 
各項目の概要です。
①事故対処のネック 
・物資の枯渇と不足
ガソリン、軽油、水、業務車、注水用消防車、バッテリー、放射線防護装備、工具、お金、食糧、生活用品、PHSの電源・・・物資の不足は事故拡大をもたらした。
(13日07:17)
1F資材班「資材班です。すいません。これからバッテリー等を買い出しに行きます。現金が不足しております。現金をこちらに持ち出している方、ぜひ、お貸しいただきたいと思います。すいません。申し訳ありませんが、現金をお持ちの方貨していただけないでしょうか。よろしくお願いします」

・作業員が入れない高線量の現場
(13日13:36)
本店「…とにかく人が行けないってところが最大のネックだと思うんで」
本店高橋フェロー「そうだね。もう危ないね。はい」

・複数基同時事故による作業員の不足
(13日18:32)
1F吉田所長「すみません、手が回っていません」

・被ばくによる作業員の不足
(13日06:56)
1F保安班「全員ではありませんけど、一部の人において、100ミリに到達する人が出始めます。このままでいきますと、かなり100ミリ到達者になりますんで、作業員確保のためにも応援を計画をお願いします」

・放射能汚染による、民間業者や自衛隊の協力体制の不備
(13日06:56)
1F保安班「自衛隊の方の線量を紹介いたしますと、今日作業してしまいますと、100を超えてしまいます。今日の作業はかなり自衛隊さんにお願いするのは難しいかと思われます…」

②情報
・テレビ会議は、東電本店=福島第一原発=福島第二原発=柏崎刈羽原発=オフサイトセンター、をむすんでいた。当初、保安院、官邸は東電テレビ会議システムに繋がっていなかった。保安院がシステムに入り、リアリタイムのやり取りができるようになったのは2011年3月末、官邸は同年4月7日だった。
・12日早朝にオフサイトセンターに引き揚げた保安検査官(保安院職員)はテレビ会議には声も姿もなく、リアルタイムの情報交換に寄与していない。

・官邸原発事故対策チームが当初いた「中2階」と呼ばれた地下の部屋は通信事情が劣悪で、途中から5階の総理執務室や総理応接室に移らなければならなかった。携帯電話も繋がらなかった。
(13日04:24)
1F吉田所長「もうかかんないよ、この電話。かけてんだけど」
本店「何度かやるとかかるから、何度かトライしてください」
1F吉田所長「むーっ。昨日からずっとこれなんだよなぁ、もう。官邸は」

・官邸に情報が“入らない”理由は、通信状況だけか? 官邸には武黒フェローをはじめ東電幹部がつめていたが、東電と官邸、保安院との間の情報交換・意思疎通は不十分だった。
(12日22:59)
本店武黒フェロー「…大きな官邸という非常に閉ざされたところであんまり情報が十分に伝わらない…きわめて隔離されてほとんど情報が入らないと、今日もあの3時半に爆発があったっていうのは、5時半に菅さんの執務室のテレビ見て、『ぎゃっ』てびっくりしちゃったんだけれども…」

・官邸や保安院は、プレス対応や体面保持のため、政治的意図に基づいた都合のよい情報を求めていた。
(13日00:45)
本店「何かね、官房だか、官邸だかのほうのプレス発表で元々1時頃に目標まで行くよというふうに聞いていたもんで、1時頃までに終わるよって言っちゃいそうなんだけど、今の話だと、この位までかかります、かかって満水にしますってことだから、その数字をえいやで計算してこんなもんて言ってあげないと、なんとなくこのままだと1時に圧力容器満水のなりますっていうふうにプレスでしゃべってしまいそうな勢いらしいんです、正しい数字は」

本店「正確に決めるのが難しいんだったら、釜を満水にするのに必要な容量に対していま1立米位で入れているから所要時間何時間で何日とかそのくらいの感じでもいいんですけど。なるほど、了解、了解。満水になるのね、皆待ってんだって。あの官房とか大臣官房とか、官邸とかで。ちょっと待ってください。だから、えいやとこんなもんですって」

(13日00:56)
本店「すみません、なんかもうニュースで言っちゃったそうです。1時に圧力容器満水になりましたって。…」

・保安院等への報告が迅速ではなかった。
(13日04:26)
本店「先ほど(03:52)のHPCIの件をNISA(保安院)に話すんですけれども、バッテリーの見込みってありますか」

・ マスコミや政府記者会見に神経をとがらして、発表内容を操作しようとしていた。
(13日13:28)
本店「今日、夕方、政府がなんか記者会見やるらしいいんですけど、そん時これ、何をしゃべるのか何か分からないんですけど、これ直すとこ直さないと」

・情報を迅速に公開する理念や体制に欠けていた。
(13日22:28)
本店「えっとですね、これは福島事務所の発信ですけども、福島事務所が本店のモニタリングのデータ
を出そうとしたらですね、表にしたものを出してはいけないと言われたと、というふうに言っておりますが」

・清水社長は、13日午後官邸で「強い注意」を受け、社内関係者に「広報する時は、まず官邸にお伺いを立てて、官邸の許しが出るまでは、絶対に出してはならない」と指示した。
(13日14:43)
本店高橋フェロー「はい。で、昨日の1F1と同じような水素によると思われる爆発が生じる可能性がありますと、そこまで言っとく必要があるんじゃないかと」
オフサイトセンター武藤副社長「分かりました」
本店高橋フェロー「で、まず保安院と官邸にこれを言って、もう一つ相談なんですが、プレスにも言っておいてはどうかと思うんですが、どうでしょうか。みなさんのご意見、どうでしょうか」
本店「あの、官邸とかあれに言ってからプレスだと思うんですけど」
本店高橋フェロー「プレスにも言うよということを前提に話をしてもらうと。どう?」
オフサイトセンター武藤副社長「いいかと思います」
本店「順番を間違えずにプレスにも言うってことだと思います」

③東電本店中枢の認識
・事故の理解が不足し、事故を甘く見ている。事故現場の危機感が共有されていない。
(13日18:55)
本店勝俣会長「もしもし、うん、うん<相手の話をしばらく聞く>うん。あのねえ、あの、1の3はベントをね、開けられそうなのよ。うん。水素?水素の問題?あー、それ、それを言ってんの。それは、まぁ確率的には非常に少ないと思うよ。だから、あのー、そんな話をしてね、国民を、あのー、まぁ騒がせるのがいいのかどうか難しい首相判断だけど。逆に言うとこっちに、次の社長会見でそれを聞かれたら、それは否定するよ。おそらくありえないと。うん、いや、だから結局、だってね、ベントを開いちゃうから恐らく消えてくれるかと思うよ。うんまぁありうるけれど、結構逃がせばなんとかなるかな。うん?」

・事故の進展よりも官邸への報告や官邸からの許可等を優先して、事故対応にあたろうとしている。
(13日08:08)
本店「…本店と官邸と保安院とベントタイミングとかも大体予想時間測りながら官邸の許可受けたりしてるんで、それ守るように基本的にやってね。・・・」

・ 勝俣会長、清水社長の発言に、事故への社会的責任の自覚が感じられない。
(13日23:28)
本店清水社長「・・・福島の今の状況も、必ずしも全く予断を許さないというのは基本認識で、えー、まぁ、したがって、まぁ常にそうでありますが、やっぱり最大のリスク考えて行動すると、対応すると、これはもう言わずもがなでありますが、これまでもそうだと思いますが、えー、まぁぜひ、たいへん、まぁ疲れもたま、たまってるわけですけど、あのー、ぜひここはまぁ踏ん張りどころということで、あのー、よろしくお願いしたいと思います。えー、したがっていま、時間というのがもう11時、もう半に、もうなりましたので、一応ここで、まぁ締めてですね、まぁ交替の方もい、いらっしゃるだろうし、やはり状況判断に基づいて、そのいま、それぞれの班ごとに、いまどういう態勢にするか、そういうあの、今朝もそうだったんですけど、うーん、あー、比較的早い時間に、いー、ま、ちょっと1F3のあれが出ましたんでね、そういうことありうべしということで、ぜひ、あのー、そこは対応に遺漏なきように、あの緊急は、かかるべしということで、重ねてよろしくお願いしたいと思います。はい、じゃあ一応ここで、あのー区切りをつけたいと思います。はい、どうもご苦労さまでした」

④メルトダウンの認識
・“メルトダウン”という用語は、13日のテレビ会議では勝俣会長が1回使っている。
(13日18:52)
本店勝俣会長「それはね、総理の会見は19時なんだし、それこそ、社長の会見が20時なんだよ。だから、総理の会見のときに、そのう、メルトダウンはありうるか、それらしいとか」

・1F所員は、「炉心溶解」「炉心溶融」と言っている。
(13日04:53)
1F技術班「3号機TAF到着まで1時間弱と評価しています。TAF到着から炉心溶解まで4時間くらいというふうに評価しています」
(13日06:20)
1F 「炉心損傷が6時15分に始まったとすると、炉心溶融が8時15分。ラプチャーが破れてベントになるのが、えっと、8時半ということになります」

・「3号機炉心溶融の可能性」はテレビ会議を通じて認識されていた。
(13日08:08)
1F技術班 「燃料が露出してからしばらく時間が経ってますので、炉心溶融となっている可能性があります。炉心溶融となっている可能性がありますので、お知らせいたします」

・吉田所長の「もうかなり溶けてるよ」の「溶けてるよ」は、東電が映像公開に際してプライバシーの保護のためにかぶせた「ピー音」の対象となり消されていたが、東電作成記録には記載があった。13日の段階では、吉田所長は“メルトダウン”を強く意識しながら、最悪の事態回避のため、あらゆる手段による注水を試みることに専心していたのではないか。
(13日06:24)
1F「…急速減圧して…0.5MPa以下くらいまでもっていけるかと。今のD/Dポンプの吐出圧からすると…ちょっとリスクが大きいので、SLC(ホウ酸水注入系)ポンプとMUW(復水補給水系)を生かすのを優先して考えて。…8時めどでやってます」
吉田所長「8時だともうかなり××。遅いよ」(××(ピー音):東電作成記録には「溶けてるよ」の記述がある)…まずはさ、まずはさ、最優先は水突っ込むんだから、早やくさ、ベントして消火ポンプをいかして突っ込むと。並行してSLCをいかして・・・どんどん入れていくと、そういう手順じゃないの。SLCが遅すぎるんだもん、だって。・・・やっぱり減圧冷却、チャレンジせざるをえないでしょ」

・12日の会見で「炉心溶融の可能性」を指摘した保安院は同日深夜に担当者が“メルトダウン”の進行を否定し、13日の会見で「溶融はわからない」とした。保安院の発言内容の変化に東電が関与していたかどうかはわからない。
*“メルトダウン”に関する保安院会見内容
12日9時 「被覆管の一部溶け始めていると考えられる」
  14時 「炉心溶融の可能性がある。進んでいるのではないか」
13日5時 「溶融の可能性は否定できない」
  17時 「溶融はわからない」  

⑤住民への目線
・吉田所長は、住民への説明が不足していることを意識していた。本店幹部は、吉田所長の提起を受けるまで、避難住民への対応の必要性を認識していなかった。
(12日23:07)
吉田所長「あのーちょっと、いま、我々プラントのほうに力いってるし、もちろんNISA(保安院)だ、官邸というところにあるんですけども。避難している人たちの中から、やっぱりものすごく不満があって、東京電力が説明しに来ないというかですね、いつまでこんな生活が続くんだと、こういうようなご不満が多々出ているようで、なかなかそれにですねえ、ちょっと応えきれてないなと。今後のことを考えると多分ものすごい我々今回のことで鼻つまみ者になっちゃうわけですけれども。このタイミングでやっぱり手を打っておかないとですね、ますますそういう感じがしてて、ただあまりそこに人が割けないというところが困ったなぁ、と思ってる」
本店高橋フェロー(本店担当とサイト広報で相談するという提案を、吉田所長にサイトにその余裕はない、と言われて)「じゃ、ちょっと立地地域部と相談しますよ」

・避難指示が出たエリアについては、避難済みとして、ベント実施に係る対応は必要なしとしている。
(13日07:04)
本店保安班「3号機ですけども、ベントをしたときの放射能の拡散挙動です。…陸側の最大が86、海側の最大が109が評価結果です。いずれも避難しているエリアになりますので、特段プラスアルファの措置はいらないかと思います」

文献 
・福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録
(福島原発事故記録チーム編  解説:宮﨑知己、木村英昭 岩波書店2013年9月)
・福島原発事故 タイムライン2011~2012
(福島原発事故記録チーム編  著者:宮﨑知己、木村英昭 小林剛 岩波書店2013年9月)

次回学習交流会で「福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録」の後半、3月14日00:00~15日00:06)をレポートし、浮かび上がる問題を提起します。どうぞご参加ください。
・次回(第28回)学習交流会
  7月20日(日)13:30~16:00 クロスパルにいがた 4階402講座室
  テーマ:「東電テレビ会議で何を話していたの?(その2)― 2011年3月14日の“福島第一原発”―」

消えた「立地審査指針」と新規制基準

“起きない”とされていたシビアアクシデント(大量の放射性物質が原発の敷地外に流れ出る事故)が福島第一原発で発生し、政府はそれまでの規制の仕組み、基準や指針を改めざるを得ませんでした。

規制の仕組みは、原子力安全・保安院(保安院)から原子力規制委員会(規制委員会)に代わりました。福島事故以前から、原発を推進する経産省に属し人事も交流がある保安院を経産省(原発推進)から切り離し独立させるべきだと指摘されていて、IAEAにも勧告されていました。推進の“なべ”のなかにいた規制当局が、福島事故が起きてようやく分離・独立したのです。

2012年9月に発足した規制委員会は、すぐに新規制基準策定にとりかかり、法律で定められた策定期限2013年7月に新規制基準を決定しました。決定と同時に、4電力会社・5原発・10基が審査申請をしました。そのうち九州電力川内原発1、2号機の審査が優先となっています。

新規制基準は、設計基準・重大事故対策・地震、津波に係る設計基準の3本柱からできています。いずれも旧指針を見直し強化していますが、旧指針のうち原発立地の妥当性を審査する「立地審査指針」を規制委員会は「その内容は新基準の中に基本的に含められている」として、なくしてしまいました。

「立地審査指針」の内容は、新規制基準にどのように含められているのでしょうか?

<立地審査指針・原則的立地条件>
①大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。
②原子炉は、その安全防護との関連において十分に公衆から離れていること。
③原子炉の敷地は、その周辺も含め、必要に応じ公衆に対して適切な措置を講じうる環境にあること。

→<新規制基準では>
・地震・津波の新基準で審査し、設置許可を判断する。
・地震・津波以外の外部事象(火山とか竜巻とか)の範囲を以前より拡大し、設計を審査し、設置許可を判断する。

「新規制基準」では、「立地審査指針」の②、③で定められている公衆(住民)と立地との関連が述べられていません。九州電力川内原発が現在優先審査されているのは、地震、津波、それ以外の自然現象について新基準をみたし基本的立地条件をクリアしているから、と規制委員会は説明しています。

大きく変わったのは「立地審査指針」のつぎの項目です。

<立地審査指針・基本的目標-立地審査の指針>
・敷地周辺の事象、原子炉の特性、安全防護施設等を考慮し、技術的見地からみて、最悪の場合には起るかもしれないと考えられる重大な事故(以下「重大事故」という)の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと - 原子炉の周囲は、原子炉からある距離の範囲内は非居住区域であること。
・重大事故を超えるような技術的見地からは起るとは考えられない事故(以下「仮想事故」という)の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと。 仮想事故の場合には、集団線量に対する影響が十分に小さいこと-原子炉からある距離の範囲内であって、非居住区域の外側の地帯は、低人口地帯であること。
原子炉敷地は、人口密集地帯からある距離だけ離れていること。
<立地審査指針・敷地境界の線量基準>
被ばく線量100m㏜以下

→<新規制基準では>
・炉心損傷防止対策でフィルタベント装置を使用する場合、敷地境界での実効線量を評価し、周辺の公衆に対して著しい放射線被ばくのリスクを与えないこと 発生事故あたり概ね5mSv以下を確認すること
・格納容器破損防止対策でフィルタベント装置を使用する場合、環境への影響をできる
だけ小さくとどめることを確認するため、セシウム137の放出量が100テラベクレルを下回っていることを確認すること。


「立地審査指針」では、どのような事故が起ころうとも、敷地境界の線量基準を100m㏜以下に抑えられる原発だけが審査をクリアできることになっていました。福島事故発生当時、福島第一原発はもちろん、日本にあった54基の原発はすべてこの基準をクリアすると判断され、設置を許可されていました。

福島事故では、2011年3月11日~2012年3月31日の間の敷地境界・積算線量はおよそ1190mSv(2011年3月11日~同年3月31日まではおおよそ234 mSv )となっています*。「敷地境界の線量基準100mSv」を明らかに超えたのですから、福島第一原発の設置許可は取り消しです。そして、この基準で設置許可された全原発について、福島事故と同等の事故が発生した場合「敷地境界の線量基準100mSv」を守れるのかどうかを点検し、守れない原発は設置許可を取り消さねばなりません。
 *「原子力規制の新基準に重大事故の敷地境界被ばく線量の評価を」滝谷紘一(科学 2013年5月号 岩波書店)「立地評価をしない原子力規制の新基準」滝谷紘一(科学 2013年6月号 岩波書店)

これについて2012年6月5日の衆議院環境委員会で質問が出ましたが、当時の保安院長は「福島第一原発はすでに廃止の届けがあり、電気工作物としての取り扱いは終わっている」と回答をしています。そして、その11日後6月16日に、「立地審査指針」による再審査もないまま、野田首相は大飯原発の再稼働を決定しました。


「新規制基準」では基本的目標・立地審査の指針・敷地境界の線量基準の項目がなくなりました。その結果「周辺住民に放射線障害を与えないこと」も「周辺住民に著しい放射線災害を与えないこと」も消え、それゆえ、2つを保障する「敷地境界の被ばく線量は100mSv以下」も消えました。

周辺住民を被ばくから守る基準が消えたかわりに登場したのが、フィルタベント使用時の基準です。

 ①炉心損傷を防止するために(炉心損傷以前に)フィルタベントを使う場合は  
  敷地境界で、発生事故あたり概ね5mSvを超えないこと

 ②格納容器破損を防止するために(炉心損傷以降に)フィルタベントを使う場合は
  セシウム137の放出量が100テラベクレルを超えないこと

「新規制基準」でこのように整理したことについて、昨年度第2回新潟県技術委員会(2013年9月14日)で規制委員会担当者は次のように説明しています。

  「立地審査指針で想定した事故は、炉心損傷はするが格納容器は損傷せずに維持され、設計上許可されている漏えい率で格納容器から漏れ出たとして計算した線量を、敷地境界の線量基準としていた。福島のような事故(シビアアクシデント)が起きた時に、敷地線量を何ミリシーベルト以下に抑えなさいと言うのは無理で現実的でないので、新規制基準では敷地境界の線量評価を基準としないよう方針転換をした。ただし、居住できなくなるようなことを防ごうということで、セシウム137の放出量を100テラベクレル以下に抑えることを基準とすることにした」

福島事故を見ればシビアアクシデント時に「敷地線量を何ミリシーベルト以下に抑えなさいと言うのは無理で現実的でない」ことは明らかです。であればこそ、被ばくと環境汚染が避けられない事故の可能性がある原発は止めるべきです。

なぜ、セシウム137だけを放出量上限基準値としたかについて規制委員会・田中委員長は国会(衆議院原子力問題調査特別委員会 2013年5月18日)で次のように説明しています

 「セシウム137は半減期が30年と長く、いったん汚染されると長期に汚染が続く。100テラベクレルはあくまでもセシウム137について規定したもので、この程度の対策をしておけば、それほど重篤な問題は起きないと判断して基準とした」

田中委員長はまるで「重篤な問題が起きなければそれでいい」と言っているようです。

「新規制基準」では、シビアアクシデントで住民の被ばくを抑えるいかなる基準値もありません。セシウム137は100テラベクレルまで放出することが許可されているのですから、それによる被ばくと汚染を引き起こしても電力会社は責任を一切問われず、住民は被ばくと環境汚染を“がまん”しなければならないことになります。セシウム137以外の放射性物質の上限規制値はありません。いわば、流しほうだいです。「新規制基準」は、電力会社の放射能放出を許可し、住民に犠牲を強いる“きば”を隠しもっているのです。

安倍政権は「規制委員会の新規制基準審査をクリアした原発は無条件で再稼働を認める」としています。私たちが再稼働を認めれば、身に降りかかる犠牲を認めることになります。「再稼働はダメ」と心の中で響き渡る言葉を、声にだしていきましょう。

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第26回学習交流会のご案内

いのち・原発を考える新潟女性の会
第26回学習交流会“福島とともにシリーズNo7” 

テーマ  屋内退避は被ばくゼロ? ―フィルタベントと避難の“もんだい”―

日時  5月18日(日)13:30~16:00
会場  クロスパルにいがた 4階 402講座室
     新潟市礎町通3ノ町2086
     TEL 025-224-2088
資料代  100円


柏崎刈羽原発7号機のフィルタベントが完成しましたが、新潟県はフィルタベント設置を了解してはいません。技術委員会による検証は始まったばかりです。


フィルタベントを使うと希ガスは低減されずに100%流れ出ます。ベント実施後数時間は住民への影響が「非常に厳しい状態」と東電は説明しています。私たちは被ばくせずに避難できるのでしょうか?


「放射能は外に出さない」はずだったのが「やっぱり過酷事故は起きる」と「放射能を外に出す」ためのフィルタベント設置を義務付けてなおも原発を動かすことを、認めていいのでしょうか?


長岡市についで小千谷市が3月16日に初の原子力防災訓練を実施しました。全世帯に配布された緊急告知ラジオの指示で、市民は全員屋内退避をしました。換気扇やエアコンを止めれば“被ばくゼロ”となるのでしょうか?


フィルタベントと避難について、情報を共有し私たちや子どもたちの未来を語り合いましょう。



いのち・原発を考える新潟女性の会
 (山内悦子・大野和・佐藤早苗・本間伸子・桑原三恵・樋口由美子)
  連絡先: 090-4625-9809(桑原)                           

東電への要請 & 県への要請

東京電力と県に提出した要請を紹介します。

・東京電力への要請

3月28日に新潟県出身の作業員の方が福島第一原発サイトで、地下2mほどの穴の中で作業中に落下してきたコンクリート塊に直撃され亡くなられました。ご冥福を祈ります。

この死亡事故では、東電が事故発生等の連絡を優先し、救急車を要請したのは発生40分後でした。
しかも、福島第一原発には15分ほどで到着するドクターヘリは使われませんでした。

東電は「現在調査中」として詳細を明らかにしていません。

作業安全管理や救急搬送体制に問題があることから、4月20日の第25回学習交流会参加者一同で次の要請を東電広瀬社長に送付しました。

2014年4月20日  
東京電力株式会社 社長 広瀬直己様


「いのち・原発を考える新潟女性の会」第25回学習交流会参加者一同

いのち・原発を考える新潟女性の会
山内悦子 大野和 佐藤早苗
本間伸子 桑原三恵 樋口由美子
<連絡先> 桑原三恵
953-0041 新潟市西蒲区巻甲756-15
TEL・FAX 0256-72-5091

福島第一原子力発電所の作業安全管理と救急医療体制確立について

 3月28日に、本県出身の福島第一原子力発電所作業員が地下2mほどの穴で掘削作業中に、落下したコンクリートや土砂の下敷きになり亡くなられました。この死亡事故について救急車要請が事故発生40分後であったこと等、御社の対応が十分であったとはいえません。また、警察等による調査を理由に改善策も未だ明らかにされていません。作業中の死亡事故について、なぜ命を救えなかったのかを説明し、必要な対策をいち早く実施しない御社の対応は、命を軽んじていると言わざるを得ません。そのような御社が柏崎刈羽原子力発電所を稼働させるなどもってのほかです。
 本日、「いのち・原発を考える新潟女性の会 第25回学習交流会」に参加した私たちは、二度と作業死亡事故がないよう、作業における安全管理と救急医療体制確立について要望します。迅速な対処をよろしくお願いします。



1 下請け企業の重層化体制が作業の安全管理を困難にしているのではないでしょうか。下請け企業重層化体制の抜本的な改善に取り組んでください。

2 作業員の方々が安全に安心して働ける作業現場の確立こそが、廃炉を確実に進める第一歩と思います。高線量下、被ばくと危険にさらされながら働く作業員の方々の人権を守る体制を作ってください。

3 救急車要請は事故発生から約40分後であり、福島市に待機するドクターヘリは15分ほどで福島第一原発に到着できるにもかかわらず、使われませんでした。救急搬送体制が極めて劣っています。ドクターヘリを使えるよう、取り組んでください。
以上



・「安定ヨウ素剤の不適切な処理」(知事コメントのタイトル)について県に要請しました。

2014年4月24日
新潟県知事 泉田裕彦 様
原子力安全対策課長 須貝幸子 様
放射能対策課長 渋谷 聡 様
医務薬事課長 水沢康正 様

いのち・原発を考える新潟女性の会
 山内悦子 大野和 佐藤早苗
 本間伸子 桑原三恵 樋口由美子
 <連絡先> 桑原三恵
 953-0041 新潟市西蒲区巻甲756-15
 TEL・FAX 0256-72-5091

「安定ヨウ素剤の不適切な処理」についての要請

4月22日に発覚し、同日知事がコメントを発した「安定ヨウ素剤の不適切な処理」は、新潟日報が「安定ヨウ素剤備蓄偽装問題」(23日夕刊)と報じたように、「不適切」ではなく「不正」と言うべきものと思います。
なぜこのような事態が放置されたままになっていたのか、疑念とそれゆえの不信を抱かざるを得ません。柏崎刈羽原発に対する知事の見解や原子力安全対策課、放射能対策課のひとかたならぬ尽力への敬意と信頼が足元で崩れる危機であると憂慮しています。
1日も早く、未配備が解消され、疑念と不信が払しょくされますよう、下記の要望を提出します。今こそ、丁寧・迅速な説明が必要です。真摯な対応を切にお願いします。


(1)未配備の現状と今後の配備および究明等今後の対応について、できるだけ早く明らかにしてください。

(2)発生から発覚するまでの経緯をすべて明らかにし、改善策(再発防止策)を示してください。

(3)今回の事態は、行政の“縦割り構造”の弱点が一因となっているのではないでしょうか。適切な業務分担が第一義であったとしても、安定ヨウ素剤に係る課が連携する体制を示してください。それは備蓄・配備のみならず、事故時の配布等に係ってもぜひ必要と思います。

以上

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